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vol.252-2(2005年 5月27日発行)
葉山 洋/マーケティング・コンサルタント

オリンピック候補地選定の行方


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オリンピック候補地選定の行方
(葉山 洋/マーケティング・コンサルタント)

 カナダ人のロバート・リビングストンは、いまだに学生としての身分は維持しているようだが、北米やヨーロッパ諸国ではオリンピック候補地選定のスペシャリストとして名が通っている。彼が主宰するウェブサイト、GamesBids.comが網羅性に富んだ関連情報のソースとして注目されているからだ。

 トロントのヨーク大学で政治、経済学を学んでいたリビングストンは、当時最終局面を迎えていた1996年の夏季オリンピックの招致合戦とかかわりを持つことになった。アトランタがアテネ、トロントを制して開催都市に選ばれた1990年のことである。

 以来、オリンピック招致に関して、独自のアカデミックな立場から研究を続けてきたリビングストンは、1998年にユニークなサイトを立ち上げた。およそインターネット上のスポーツ、特にオリンピックに関するサイトは開催が決定した大会自体の情報発信を行っているのに対し、GamesBids.comは招致、誘致とそのプロセスに関する様々な事柄をカバーする。

 中でもリビングストン自身が考案して、ホームページ上で公開しているBidIndex(ビッドインデックス)は各候補都市の「相対的」優位性を示す指標として極めてユニークな数値データだ。

 オリンピック開催都市選定には数多くの異なった要件が反映される。単純な人気投票ではない。優れた開催計画案(ビッド・ドキュメント)、聴衆を魅了するプレゼンテーションは往々にして誘致成功には結び付いてこなかった。そこには常に政治的バランスがあり、目に見えない「時合」のようなものもあるからだ。

 BidIndexはアメリカなどの国内候補都市選考プロセスから得られたデータと過去のオリンピック開催都市選定における様々な要素をベンチマーク化し、現在の各都市の状況を比較分析して指標をはじき出している。

 2012年の夏季オリンピックの候補地、5都市の最新のインデックスは5月10日に発表された。

       パリ      65.88 (0.63 ダウン)
       ロンドン    63.40 (2.32 アップ)
       マドリッド   61.11 (0.80 ダウン)
       ニューヨーク  59.62 (0.73 アップ)
       モスクワ    49.77 (0.51 ダウン)

 2月から3月にかけて実施されたIOCの候補地視察以来、メディアはパリ対ロンドンのデッドヒートを伝えてきた。特にパリに関してはフランス国民の支持率の高さが招致を後押しているようだ。

 一方マーケティング的には最も魅力的なニューヨークは、下から2番目だ。マンハッタンに計画されているオリンピック・スタジアムに対する州政府の認可の遅れが、明らかに致命傷になりつつあるようだ。

 6月6日にはIOC評価委員会からの最終レポートが発表される見通しだ。そしてその1ヶ月後にはシンガポールでIOCメンバーによる投票が行われ、全てが決する。はたしてロバート・リビングストンのアカデミックな分析は、どの程度的中するだろうか。


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