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vol.257-2(2005年 7月 1日発行)
葉山 洋/マーケティング・コンサルタント

プロ野球有識者会議

滝口 隆司/毎日新聞運動部
 〜「運動しましょう」と言うだけでは〜

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プロ野球有識者会議
(葉山 洋/マーケティング・コンサルタント)

 プロ野球有識者会議の会合が先日都内で開かれた。4月に開催された第1回に続く2回目になる。

 第1回の会合では根来泰周コミッショナーに指名された9名の「有識者」から建設省OBで元岐阜県知事の梶原 拓氏を座長に互選。球団名と親会社名のかかわりや責任の所在に関して議論した、と報じられた。

 さて第2回会合ではさらにアウトプットとして2つの方向性が発表された。1つはファンを巻き込んだ「プロ野球を考える会」の設立で、全国各地で展開するだけでなくネット上で意見を交換して球界改革の議論を活発化したい、とする。

 もう1つは権限の明確化で、呼称をコミッショナーとするかは未定だが、最高権限を持つ職責を作り、責任体制を明確にする、という。次回の会合では基本的な改革案を協議する予定だそうだ。とまれ、有識者会議が真に具体性のある建設的プランを示すことは可能なのだろうか。

 そもそも9人のメンバーのうち60歳以下は1人だけ。過半数の5人が65歳以上(3人は70歳以上)という将来を議論するには多少疑問のある年齢構成である。球界のみならずスポーツの関係者は張本 勲氏のみだ。有識者という立場で野球を議論するに足るスポーツ全般の知識レベルは担保されているのだろうか。

 ただ1人、50歳前半の小嶌(こじま)典明氏はメンバー中最年少。大阪大大学院の教授で労働法の専門家である。昨年9月の選手会スト突入時には読売新聞や報知新聞の取材に応えるかたちで「法律上経営側は労使交渉に応じる義務はない。正当性のないストは違法だ。」と経営者擁護の立場をとった法律家として記憶に新しい。

 経済界からは著名な経営者と共に広告大手の電通の子会社、電通総研の社長が招かれている。日本プロ野球機構(NPB)のマーケティング活動が博報堂中心に行われてきたことを考えると皮肉だ。博報堂スポーツマーケティングはあまりハッピーではないだろう。

 新しいチームが誕生し、経営が変わったチームもある。スタジアム・ネーミングライツも導入された。セ・パ交流戦もファンの関心を呼んだようだ。しかしながらテレビ中継のドル箱だった巨人戦の視聴率はBクラスに低迷するチームの状況と同じで、一向に回復する兆しを見せない。折も折、読売新聞グループ会長の渡辺恒雄前オーナー(79歳)が巨人軍代表取締役会長に就任することが株主総会で正式承認された(6月23日)。

 渡辺前オーナーの会長内定報道が出た6月の初め、TBSのサンデーモーニングで、有識者の1人張本 勲氏は「私は大賛成。このような時だからこそ渡辺氏の見識とリーダーシップが求められる。」と諸手を挙げて賛同した。テレビを見ていた私は、思わず「喝!」と叫んでしまった。

 渡辺氏に近いといわれる張本氏のこと、実に正直な発言である。そこに今回の有識者会議の「最高権限待望論」だ。会合で人選の議論に至ったのか大いに興味がそそられる。

 今プロ野球に最も必要とされるのは「観せてやる」から「観ていただく」への思考の大転換だ。歴史的にメディアや交通産業の事業拡張戦略によって支えられてきたプロ野球の「提供する娯楽」としての経営フィロソフィーを180度変えるのは、たやすい事ではない。

 リーグにおいて最高権限を与えられる人物に求められるのは、選手とファンにバランスよく目配りをした明快なビジョン。そしてビジョンに裏付けられた強いリーダーシップだ。但し、この資質や能力が声の大きさと同意語ではないことは、誰でも理解できる真理であろう。


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