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第22回ユニバーシアード冬季競技大会 1000m男子 金メダル 中嶋敬春

(C)photo kishimoto

 
第22回
ユニバーシアード冬季競技大会
(2005/インスブルック)
1000m男子 金メダル
中嶋敬春

SPORTS IMPACT
  オリジナルGALLERY
(C)photo kishimoto
vol.235-2(2005年 1月28日発行)
市川 一夫/スポーツライター

JOCのマーケティングは金が全て
―表彰台ウエアの権利は入札方式導入と発表―


岡崎 満義/ジャーナリスト
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葉山 洋/マーケティング・コンサルタント
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JOCのマーケティングは金が全て
―表彰台ウエアの権利は入札方式導入と発表―

(市川 一夫/スポーツライター)

 五輪選手団が着用する公式ウエアは当然のことであるが長い歴史を持つ。

 公式ウエアの選定について少し歴史を辿ってみよう。

 東京五輪(1964年)においては4年前のローマ大会視察などを経て服装委員会が設置され日本代表に相応しい服装との指針により赤とアイボリーを基調にしたシンプルな物が選定されている。

 入札は入札でも当時は調達予算があり、サプライヤーは幾らで落札するか?が課題とされていた。その為、素材、色、デザイン、刺繍などの仕様を細かに検討し他社に無いオリジナリティを出すために工夫を凝らしたと聞いている。

 当時は、都内百貨店、テーラー組合、美津濃(当時)等が紡績などと連合を組み入札に参加していた。

 付け加えれば、選手団においては国から支給された服装だから誇りを持ち、大切にするようにとの通達がされていたのである。
所謂、選ばれた人々のみが身に付けることを許された名誉の証であった。

 秩父宮記念博物館(新宿区)には戦前から現在に至るまでそれぞれの時代を反映した公式服装等が保存、展示されており、来館者は興味が尽きない。

 このような歴史を持つ公式服装であるが、商業化路線が露骨にあらわれたロス五輪(1984年)よりテレビ中継が本格化し、選手の着用する機会が数多く露出することになり、結果、参入する業種、業者が増え始め、事実上の独占業者であったミズノは後発から追い上げを受けたのである。

 苦肉の策として現在はスポーツ専業3社(ミズノ、アシックス、デサント)が機会均等理由により五輪、アジア、ユニーバシアードそれぞれ夏、冬を複雑な方式を用いて輪番制で供給している。

 選手団は自分の所属する競技団体が契約し支給を受ける物品の他、更に3社からの公式服装類を携行せねばならないわけで荷物が増え、着用する場面に応じて準備をする煩わしさがつきまとう。

 さて、今回の発表の背景、狙いは何だろうか?

 一つは中継、報道を通しての露出効果が高まり宣伝媒体として相応の価値を得ることであり、競争原理を導入することで効果的な資金調達が可能になる。

 特に、新しいキャンペーンが目玉の北島を含む3選手により拒否され、選手の肖像権を一括管理するという法的矛盾が顕在化し、存続に赤信号が点灯している状態において、安定した収入を確保しておく為には取れるところから容赦なく取っておこうという姿勢が如実に現れている。

 次に先に述べたように、3社が分担して企画、納品するといった煩雑さを解消することも見込める。良いことずくめのように見える計画であるが大きな問題を生み出す懸念も孕んでいる。

 これらを着用する人達は選手であり、選手が道具にされるのである。

 競技シューズのように個人が契約し直接対価を得ることが出来るものであれば選手も納得が行くのである。

 しかし、対価はJOCの懐に入り、合理的な理由で様々な使途がされるとしても、選手が広告媒体とされる事実は否定のしようも無いものであろう。

 この計画から得られた収入を選手が均等に受け取れるなどと言うつもりは無いが、選手を媒体にしてビジネスをするのであれば、選手の為に、明快に理解できるようなお金の使い方をして欲しいと望むものである。

 間違っても、収入増を原資に役員有給制を拡大することのないように望みたい。


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