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vol.279-2(2005年12月 2日発行)
岡 邦行/ルポライター

ジャンボ尾崎の“復活”を願う

滝口 隆司/毎日新聞運動部記者
   〜国歌演奏について考える〜
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ジャンボ尾崎の"復活"を願う
岡 邦行/ルポライター)

 今シーズンのプロゴルフツアーは、今週開催されている日本シリーズJTカップを最後に全日程が終了する。周知のように女子ツアーの場合は、宮里藍と横峯さくらの活躍で盛り上がりを見せた。が、男子ツアーの人気はイマイチ状態。7人の初優勝者を出したものの、ファンを魅了することはできなかった。

 とくに男子ツアーには若手のスター選手が出てこないのだ。たしかに女性ファンを魅了するに充分なルックスもスタイルもいい。イケメン系の実力ある選手も多い。しかし、たとえば髪を染めた同じような今時のファッションのため、ギャラリーを惹きつける個性も華もあまり感じられないのだ。そう思ってしまうのは私だけではないだろう。

ひと昔前は違ったではないか。AONが活躍していた時代は、100メートル先からでも一目で青木功、ジャンボ尾崎、中嶋常幸を筆頭とした人気選手たちの姿を確認することができた。オーラを発していたからだ。

昨年10月だった。日本シニアオープン開催の前日。レギュラーツアーからシニアツアーに初参戦する中嶋常幸がいっていた。

「レギュラーツアーに行っても、顔と名前が一致しない。それどころかプロなのかアマなのか、それとも関係者なのかわからない選手もいる。ベテラン選手同士で話をすると、半分くらいはそういう選手だという。・・・今ゴルフはハイテクされた道具を駆使して、戦闘機でいえばF15だとかF16なんて感じだけど、俺たちベテラン選手はゼロ戦のね、華麗なる空中戦でファンを魅せなきゃなんない・・・」

 この夏。久しぶりに私は、トーナメント会場に足を運んだ。ジャンボ尾崎に密着。プレーを凝視した。その際、ジャンボのエースキャディの佐野木計至さんが、私にしんみりとした口調でいった。

「別にジャンボをヨイショするわけじゃないけどね。今のジャンボは、優勝から遠ざかっているために苦労している。躍起になっているね。相変わらず宿舎に戻ってもクラブを離さずに素振りをしているし、鉄アレイなどを持ち込んでトレーニングをしている。今の若手プロ連中を見て苛立っているんだろうね。必死に自分と闘っているよ・・・」

 佐野木さんによれば、ここ1年間のジャンボは坐骨神経痛に悩まされながらも果敢に強気のゴルフに徹しているという。

「ジャンボ、ここは刻んだほうがいい・・・」
「何をいう。俺のゴルフは豪快さがウリだ」
「しかし、百戦錬磨で培ったテクニックを駆使したほうが・・・」
「単に俺がグリーンの真ん中にオンさせても意味がない。ギャラリーが喜ぶか? ここはピンをデッドで狙う」

 以上のような会話をジャンボと佐野木さんは、ラウンド中に何度も交わすという。

「ジャンボは、プロとしての自分の確固たる美学を持っている。その点、今の若い連中は開発されたクラブとボールがマッチングすれば、日々の練習と実戦で培った高い技術と感性、能力がなくとも簡単に飛距離を出すことができるしね。そこには個性が感じられない。そのためジャンボは苛立ちを覚えるんだろうな。『体力も技術もないような若手が、俺と同じ飛距離を出してくる。つまらんなあ・・・』といっている。私もジャンボの気持ちが痛いほどわかる・・・」

 今シーズンのジャンボは、獲得賞金額1022万円で賞金ランク82位。プロ入り36年目、58歳にして初めて賞金ランクにおいてのシード権を失った。もちろん、前人未踏の通算100勝を突破し、永久シード権を獲得しているジャンボは、来シーズンもトーナメントに姿を見せるのは間違いない。

 現在のジャンボは、激しく佐野木さんを前に宣言している。
「もう一度、俺は絶対に横綱を張る。あと10年は現役で頑張る!」

 さらに声高にこうもいっている。
「ゴルフができなくなったら自殺したも同然じゃないか。俺は必ず復活する!」

 私は信じる。ジャンボが復活すれば、男子プロゴルフシーンの“風景”は変わる。再び人気が盛り上がる―と。


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