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第22回ユニバーシアード冬季競技大会 西脇雅仁旗手

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第22回
ユニバーシアード冬季競技大会
(2005/インスブルック)
開会式
西脇雅仁旗手

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vol.233-2(2005年 1月14日発行)
大島 裕史/ジャーナリスト

節目の年の日本・朝鮮半島とスポーツ界



岡崎 満義/ジャーナリスト
   〜出羽錦さんのこと〜

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節目の年の日本・朝鮮半島とスポーツ界
大島 裕史/ジャーナリスト)

 今年は日本が大韓帝国の外交権を奪い保護国とした第2次日韓協約から100年、日本の敗戦、朝鮮半島の解放、南北分断の始まりから60年、日韓国交正常化から40年といったように、日本と朝鮮半島に関する様々な面で節目の年となっている。正月の韓国の新聞紙面は、このテーマで持ちきりであった。
 
 10年に1度巡ってくる節目の年には、民族意識が盛り上がることが多い。「韓流」に沸く今日からみると、かなり昔のような感じがするが、朝鮮半島の解放50年の節目であった10年前は、2002年のワールドカップ開催を巡る激しい招致合戦も相まって、日韓の関係はかなり険悪なものであった。今年も節目の年であることにともなう民族意識の高揚は、韓国だけでなく、北朝鮮、中国など東アジア全体に起こり、それはスポーツ界にも少なからぬ影響を及ぼすに違いない。
 
 中でも頭が痛いのは、サッカーワールドカップ・アジア最終予選の北朝鮮戦である。過去にも北朝鮮との対戦はあるものの、日本でワールドカップへの関心が高まり、応援ツアーで大勢のサポーターがアウエーの会場に乗り込むようになって初めての対戦である。おまけに、拉致問題などを巡り経済制裁までが論じられる中での試合である。6月8日の平壌でのアウエー戦に向け、試合の外的要件には、不確実な要素があまりに多い。サポーターはどの程度平壌に入ることができるのか。報道陣はどれくらいの規模で、どこまで取材が許されるのか。ぎりぎりまで気をもむことになりそうだ。
 
 試合もかなり異様な雰囲気の中で行われることになるであろう。ただ、昨年中国で行われたアジアカップのように、競技場の外での暴動のようなことはないのではないか。なぜなら、北朝鮮当局が統制しきれないような暴動は、一つ間違えると体制の維持にも影響を及ぼしかねないからだ。それでも、日本人の受け入れの規模および取り扱いは、北朝鮮当局が日本との関係をどう考えるかにかかっているのではないか。
 
 日韓国交交渉が本格化していた1963年、ソウルでアジア野球選手権が開催された。この大会で韓国は日本を破り初優勝を果たしたが、応援団が暴走して日本との関係を損なわないよう、かなり気を遣ったという。当時のクーデター政権にとっては、経済建て直しのため、日本からの経済的支援がどうしても必要だったからだ。
 
 東アジアのスポーツは、どうしても政治的影響が絡んでくる。であればこそ日本は、政治的なものとは距離を置き、スポーツはスポーツとして接する態度が必要となる。2月9日のホームでの北朝鮮戦は、まさにそうした試合である。
 
 韓国にとって今年は、野球が伝わって100周年の記念の年だ。6月に史上初となる日本のプロ野球公式戦の韓国開催、11月にはアジアチャンピオンシリーズが予定されている。日本のプロ野球も新球団が誕生して再スタートの年だ。
 
 東アジアにおける国と国との関係だけでなく、それぞれの国、さらには国家間の交流におけるスポーツ文化の成熟が問われる1年になりそうだ。


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