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SBC杯第12回全日本スピード距離別選手権大会 女子1000m 大菅小百合

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vol.275-1(2005年11月 2日発行)
大島 裕史/ジャーナリスト

アジアシリーズに対する韓国の期待



岡崎 満義/ジャーナリスト
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アジアシリーズに対する韓国の期待
大島 裕史/ジャーナリスト)

 このところ韓国のスポーツメディアは、10日から東京ドームで開催されるアジアシリーズに関する記事を、連日大々的に報じている。注目は何と言っても、千葉ロッテの李承Yと、前所属チームであった三星との対決である。李承Yも、「祖国のファンに成長した姿を見せたい」と、並々ならぬ意気込みを見せている。

 また来日1年目の昨年はホームラン14本に終わり、自信をなくしていた李承Yをよみがえらせた人物に、今年からコーディネーターとしてコーティングスタッフに加わった金星根がいる。金は京都出身の在日韓国人であったが、20歳の時に韓国に渡り、82年に始まった韓国のプロ野球では、監督として歴代2位となる866勝を挙げている、韓国屈指の名将である。金星根もかつては三星の監督であった。

 一方三星にも、日本での試合をとりわけ楽しみにしている人物が2人いる。監督就任1年目で韓国シリーズを制した宣銅烈と、トレーニングコーチの花増幸二である。

 三星が斗山に4戦全勝で優勝を決めた韓国シリーズが始まる前、花増は、「韓国シリーズに勝つことはもちろんだけど、勝って東京ドームに行くことに、強い思いがあります」と語っていた。

 花増は、当時東京ドームを本拠地としていた日本ハムで、23年間トレーニングコーチを務めていた。昨年、三星のヘッドコーチに就任した宣銅烈の強い要請で韓国に来ている。

 中日の抑えの切り札として活躍した宣は、野球はバランスのスポーツであり、シーズン負傷なく戦うために、専門知識を持ったトレーニングコーチが重要であることを肌で感じていた。韓国では、選手をケアする部分の認識が足りなかったからだ。

 昨年三星は、韓国シリーズで惜しくも敗れたが、前半最下位の時期もあったにもかかわらず、他チームが夏場に負傷者が続出して脱落していく中、安定した力を見せた。その結果、韓国でもトレーニングコーチの重要性が認識されるようになった。

 このように、宣銅烈監督の野球には、日本で経験したことが、大きく影響している。特に、来日1年目は不振で、2軍生活を強いられたことが、監督としての幅を広げている。

 三星は、親会社の豊富な資金力をバックに、FAの有力選手をかき集め、「三星ヤンキーズ」と揶揄されるほどのスター軍団であるが、今シーズンは主力選手が不調で、3割打者が1人もいないような状況であった。

 それでも、チームバッティングを徹底させることと、自身が中日で優勝した時のように、中継ぎ抑えを安定させることで、チームを優勝に導いた。さらに特筆すべきは、強力な補強で控えに回っている選手が、代打などでチームの勝利に貢献したことである。新人監督らしからぬ選手の掌握術も、日本で苦労したゆえの成果であろう。

 その宣監督は韓国シリーズで優勝を決めた後、「日本のファンに、いい姿を見せたい」と語っていた。

 韓国のプロ野球は今年、前年に比べ観衆が100万人以上増加した。それでも全体の観客動員数が300万人台に過ぎない。それだけに、アジアシリーズを通して、国民の関心を高めたいという期待は大きい。日韓両国またにかけた監督・コーチ、それに選手たちの因縁の対決が、さらにその期待を高めている。


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