スポーツデザイン研究所
topページへ
topページへ
講演情報へ
オリジナルコラムへ
SPORTS ADVANTAGE
   「批評性」「評論性」「文化性」の視点からスポーツの核心に迫る
最新GALLARY
第11回世界水泳選手権大会モントリオール2005 フリールーティーン決勝 中国
(C)photo kishimoto

 
第11回世界水泳選手権大会
モントリオール2005
フリールーティーン決勝
中国

SPORTS IMPACT
  オリジナルGALLERY
(C)photo kishimoto
vol.261-1(2005年 7月27日発行)
佐藤 次郎/スポーツライター

オールスターの勘違い


岡崎満義/ジャーナリスト
  〜片山、その美しい四股〜
市川 一夫/スポーツライター
  〜フェアウエーをキープできるか―ボールの行方を注目〜
滝口 隆司/毎日新聞運動部
  〜波紋を呼んだインテルの英国遠征〜
筆者プロフィール
バックナンバーリスト
SPORTS ADVANTAGE
無料購読お申し込み
オリジナルコラムを中心に当サイトの更新情報、スポーツ関連講座やシンポジウム開催情報などを無料配信しています。今すぐご登録下さい。
申し込みはこちらから
ホームよりエントリー
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望
エントリーは下記リンクより、氏名配信先アドレス男女都道府県別年齢所属を記入の上メールして下さい
オールスターの勘違い
佐藤 次郎/スポーツライター)

 ことしも相変わらずだった。プロ野球のオールスターゲームのことだ。松坂VS清原の「力勝負」なるものをこんなにもてはやすのは、もうやめにしたらどうなのか。

 いくらストレートが速いといっても、真っすぐしか来ないとわかっていれば、プロの一流打者はちゃんと打ち返す。どっちに軍配が上がるにしろ、力まかせにストレートを投げ、それを待ち構えていて強引にフルスイングするなどという対戦は、およそ真剣勝負ともいえないようなものである。なのに、いつのころからか、オールスターでは速球投手が長距離打者にストレート一本の勝負を挑むのが「お約束」になってしまった。おかしなことと言わねばならない。だから、通常の試合でも、チャンスにストレートで勝負しないと言って文句をつけるような、なんともお粗末な一幕が起きるのだ。

ピッチャーの側としても、ストレート一本を宣言するのなら、それでみごとに抑えてみせなければ、わざわざそんなことにこだわる意味がない。プロの投手たるもの、結果的に打たれてしまえば、中身はどうあれ、ただの負けにすぎないのである。どっちにしろ、事前に真っすぐだけとわかっている勝負など、当人同士の遊びのようなものではないか。

 投げる側は、けっして逃げずに、持っている力のすべてを駆使して相手を打ち取りにいく。打つ方は、そのベストピッチを精魂こめて打ち返そうとする。それが本当の真っ向勝負、名勝負というものだ。力勝負の「力」とは、力まかせということではなく、それぞれの傑出した力を出し切るという意味なのである。

 そのことだけでなく、日本のオールスターはいまひとつエキサイティングではない。もちろんお祭りでもあり、いつも通りの全力プレーというわけにはいかないのだろうが、それでも随所にスターならではの輝きがほしいところだ。それがなければオールスターの意味がないだろう。

 たしかに舞台は華やかだ。だが、中身はどうも仲間うちのお遊び的なものにとどまっている感じがする。選手たちは、スターの名にふさわしい技と誇りを観客たちに見せるのだという思いを忘れないでほしい。そうしないと、このイベントはしだいに輝きを失っていく。

 もうひとつ、選手を投票で選ぶファンの側も考えねばいけない。そのシーズンのベストの選手に投票するのが本当のファンというものだろう。実際の結果がそうなっていないところにも、オールスターが面白くない原因がありそうだ。


Copyright (C) Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。 →ご利用条件