スポーツデザイン研究所
topページへ
topページへ
講演情報へ
オリジナルコラムへ
SPORTS ADVANTAGE
   「批評性」「評論性」「文化性」の視点からスポーツの核心に迫る
最新GALLARY
2005世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会記者会見 金メダル 浅田真央

(C)photo kishimoto


2005世界ジュニア
フィギュアスケート選手権大会
記者会見
金メダル 浅田真央

SPORTS IMPACT
  オリジナルGALLERY
(C)photo kishimoto
vol.241-1(2005年 3月 9日発行)
杉山 茂/スポーツプロデューサー


「福原愛プロ」の高校総体出場承認が描くもの



岡崎 満義/ジャーナリスト
   〜宮里藍選手の大活躍を見て〜
  ―逆に、男子選手はなぜ振るわないのか―

滝口 隆司/毎日新聞運動部
   〜石毛宏典さんの野球教室〜

筆者プロフィール
バックナンバーリスト
SPORTS ADVANTAGE
無料購読お申し込み
オリジナルコラムを中心に当サイトの更新情報、スポーツ関連講座やシンポジウム開催情報などを無料配信しています。今すぐご登録下さい。
申し込みはこちらから
ホームよりエントリー
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望
エントリーは下記リンクより、氏名配信先アドレス男女都道府県別年齢所属を記入の上メールして下さい
「福原愛プロ」の高校総体出場承認が描くもの
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 全国高等学校体育連盟(高体連)は、卓球女子の人気選手・福原愛(青森山田高1年)が全国高校総合体育大会(インター・ハイ。高校総体)に出場できることを承認した〜3月5日〜。

 福原選手の参加が改めて議論されたのは、彼女の日ごろの行動が「プロ的」だからだ。

 全国高校総体には、スポンサー、企業から金銭的な支援を受けたり、広告へ“登場”する選手は出場できない規定がある。

 ところが、福原選手の人気は捨てがたい。国際シーンで堂々と戦う実力も、同年代のレベルアップへつながり、大会を質的に盛り上げるとして「特例」になった。

 融通を利かせるのが苦手、と思えた高体連にしては、なかなかの決断だ。

 もっとも、世代を問わず、プロとノンプロ(アマチュア)の一線は、とっくに無くなっている。

 アマチュア側がプロにすり寄っているし、プロもアマチュアへの奉任を怠っていてはそのスポーツの発展に響く時代だ。

 日本体育協会も、3月8日の理事会でついにその規約(寄付行為)から「アマチュア」の文字を削り取ることを決め、英文の協会名からも「アマチュア」の表記が消える。

 長くスポーツ界に“君臨”した「アマチュア精神」は「スポーツ精神」の表現に変えられる。

 「福原プロ」が、教育内活動のイベントに参加するのを、誰も不思議に思わない。

 むしろ、心配なのは仮に福原選手が登場した時のマスコミの騒ぎだ。

 アテネ・オリンピック(昨年8月)以降、彼女へ群がる取材陣の数は異常で、テレビは、彼女の相手選手のカット(画面)をほとんど見せずダブルスではパートナーさえ同様の扱いをうける。

 福原だけではない。女子プロゴルフの宮里藍、横峯さくら、女子プロテニスのマリア・シャラポア(ロシア)らも、マスコミはまるで他の選手が居ないかのように追いかける。スポーツ大会でこうした取材が許されるのだろうか。公平な報道なのだろうか。

 彼女たちの力は文句なくトップである。勝っても敗れても「ニュースになる」と譲っても周囲を“無視”する姿勢は、とうてい肯定できない。

 高体連は、充分にその混乱を知りながら「特例」で、大会の熱気を目論んだ。

 現実には、県予選の免除など特典はなく、内外のトップゾーンでの競技予定が詰まっている福原選手の参加は難しそうだが、「高校体育界」が「高校スポーツ界」へと姿勢を変えるきっかけになるなら、今回の「特例」は、評価するに値しよう―。


Copyright (C) Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。 →ご利用条件