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vol.258-1(2005年 7月 6日発行)
杉山 茂/スポーツプロデューサー


FIFA、ワールドカップ放送権に“新たな計算”



岡崎 満義/ジャーナリスト
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FIFA、ワールドカップ放送権に“新たな計算”
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 2010年ワールドカップ・サッカーのヨーロッパ向けテレビ放送権契約がまとまり始めた。

 “サッカー効果”なのか、ついこの間まではほとんど日本のマスコミは採りあげなかったニュースだが、かなりのスペースで伝えられた(6月29日、FIFA理事会)。

 テレビ界は、この報道の“内容”を興味を持って迎えている。

 放送権を持つ国際サッカー連盟(FIFA)が、契約の相手として選んだのがヨーロッパ放送連合(EBU)と主要国の公共放送局だったからだ。

 EBUは、ヨーロッパ各国の主として公共放送機関のよって組織され、FIFAに限らず多くの国際スポーツ連盟と良好な関係を保ってきた。

 アメリカのスポーツが、同国の主力テレビ局が総て商業放送(民放)であったこともあり、エンタテイメントカラーに磨きがかけられて育った。視聴率に敏感で、スポーツビジネスの充実にもつながったが、アメリカ国内で関心の薄いスポーツには冷めたかった。

 その点、EBUは、多国籍でもあり、各スポーツに平均した視線を注ぎ、国際オリンピック委員会(IOC)にも、深く食いこんでいた。

 特にサッカーは、EBUによるユーロビジョンが、1954年のワールドカップ・スイス大会の直前に発足したことで、ヨーロッパ地域で国境なき熱狂をつくり出し、今日の世界的興奮へと発展させて来た。

 FIFAとEBUの仲は、永遠に睦まじいと思われたが、FIFAは2002年(日韓)と04年(ドイツ)両大会の放送権を、ヨーロッパのエージェントに売り渡し、放送権獲得の上でEBUは、後退を余儀なくされた。

 EBUとともに手を組んでいたNHKなど世界の公共放送による国際コンソーシアムも、それまで(1978〜98年)とは桁ちがいの放送権料を用意しなければならなくなり、日本では2002年大会からオリンピック同ようの民放・NHK合同での放送となった(ほかにスカイパーフェクトTV)。

 今度は、FIAFとエージェントが、新たな仲を築くかに思えた。

 それがヨーロッパ地域に限っては、EBUとヨリを戻したのである。

 といって02、06年両大会で世界から28億スイスフラン(約2436億円)もの巨額を手にしたFIFAがその味を忘れるわけはない。

 FIFAは、日韓大会前、多くのテレビ関係者から放送権料のはね上がりをこぼされた。

 その額は、FIFAの想像を上回り、エージェントのパワーを思い知らされることにもなる。

 EBUやヨーロッパ各局が、今春からの交渉でエージェント抜きを望んでいたのは、FIFAにとっても悪い話ではなかったろう。手数料が省かれれば、自らの取り分もふくれる。

 今回の決着(ヨーロッパ地域だけで1大会分約15億4200万スイスフラン、約1340億円)は、その計算に間違いなかったことを示す。

 EBUは、7年以上もかけて放送権を奪還したが、1部を有料放送局へセールスすることになる。これも時代だ。

 このあと、02、06年大会はエージェント手配の制作会社が受け持つ競技(試合)映像を6年後は誰がどのように制作するのかなど注目されるが、巨大組織・FIFAが、放送局とのダイレクト契約を再認識したのは興味深い―。

 (注)2010年大会の日本向け放送権は、14年大会と合せて大手広告代理店・電通がFIFAとの間に契約を終えている。


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