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グランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会 男子表彰式 1st/ステファン・ランビール(SUI) 2st/ジェフリー・バトル(CAN) 3st/高橋大輔(JPN)


(C)photo kishimoto

グランプリファイナル
国際フィギュアスケート競技大会
男子表彰式
1位ステファン・ランビール(SUI)
2位ジェフリー・バトル(CAN)
3位高橋大輔(JPN)

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(C)photo kishimoto
vol.282-1(2005年 12月21日発行)
杉山 茂/スポーツプロデューサー

「くじ」の苦戦、「スポーツ」の低調

〜2005年を振り返るB〜

岡崎 満義/ジャーナリスト
  〜言霊の幸わう国の人・仰木彬監督〜
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「くじ」の苦戦、「スポーツ」の低調
〜2005年を振り返るB〜
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 「スポーツ振興くじ」(サッカーくじ、TOTO)が、今年も苦戦に終始した。

 スポーツ関係者の集まる会合には、運営機関の人の“お願い”の時間が必ずといってよいほど設けられ、12月19日東京でのトップリーグ連携機構による初行事「マネージメントセミナー」でも、協力が呼びかけられた。

 スポーツのための新たな財源。たしかにスポーツ界がまず動かなければ、というのは分かるが、スタートしてすでに5年、「くじを買ってスポーツを楽しむ」ムードが、世の中に醸成されていないことのほうが気になる。

 それでも、5クラブに優勝の可能性を残したJリーグ最終日(12月4日)の「くじ」は、4億円台の売り上げを示し、前3週平均約2億6,000万円を大きく上廻った。

 ピーク時の数字には及ばないまでも、サッカーファンを軸に、「予想の面白さ」という魅力は萎えてしまったわけではない。

 Jリーグ(今年から全日本選手権も組みこまれたが・・・)の展開と合わせたセールスのアイデアがあれば、再上昇は期待できる。

 とはいえ、2001年度601億円を売り上げ、規定の35%・211億円が、目的の事業に配分されたのは、夢のようだ。

 その後、配分額は約143億円、約71億円、約54億円と落ちこみ、払戻し期限を過ぎた当選金を加えるなどの“苦しい手”を打ちながらしのいできている。

 配当を見込んで進めた事業は、初年度(2002年度助成)で浮かれたものの、すぐに縮少を迫られ、継続を断念せざるを得ないケースも少なくない。

 いま、スポーツに注ぎこまれる金を工面(くめん)するのは容易ではない。「くじ」はある意味で、残された数少ない糸の1本と言える。このラインが細くなっては「地域主流」も「自立」も展望を閉ざされる。

 スポーツをスポーツ人だけの小さな輪のなかで過ごした時代があまりにも長かった、これはツケだ。「見るスポーツ」と声高に叫んでも「見せるスポーツ」の体制、姿勢が、スポーツ側にどこまで高まってきたか、となると怪しい。

 「くじ」の売れ行きは、そうした状況と無関係ではないのである。

 「買ってくれ」の連呼だけではなく、見るもよし、するもよし、話すスポーツ、読むスポーツ、食べるスポーツ、総てをよしとする“習慣”こそが不可欠ではないか。

 この多くが整えば「日本で夏季オリンピックを」の声も、社会の側から沸いてこよう―。


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