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vol.272-2(2005年10月14日発行)
滝口 隆司/毎日新聞記者

変わる中高年のカラダ


佐藤 次郎/スポーツライター
  〜奮起せよ、無名たち〜
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変わる中高年のカラダ
滝口 隆司/毎日新聞記者)

 青少年は体力が落ち続けているのに対し、中高年は敏しょう性などの点で向上しているという調査結果が文部科学省から発表された。6歳〜79歳まで約7万3000人を対象に実施され、それを1985年(昭和60年)当時と比べての分析である。

 調査は@小学生(6歳〜11歳)A中学生〜大学生(12歳〜19歳)B成年(20歳〜64歳)C高齢者(65歳〜79歳)――という年齢区分で実施種目を変えて行われた。

 中高年といえる世代の調査結果が面白い。35歳〜39歳、45歳〜49歳、55歳〜59歳という年代別に、握力(筋力)、反復横跳び(敏しょう性)、急歩(全身持久力)の3種類の結果が20年前と比較されている。急歩はやや低下傾向にあるものの、握力は緩やかな向上か横ばい傾向を示し、反復横跳びは明らかに20年前よりも伸びている。

 20秒間で1b置きの3本のラインをまたぐ反復横跳びでは、45〜49歳の男性(45.91回)と女性(40.72回)、55〜59歳男性(39.94回)が過去最高の数字を記録した。 一方、青少年は7歳、9歳、11歳、13歳、16歳、19歳の6つの年齢で50b走、持久走、立ち幅跳び、ソフトボール投げ、ハンドボール投げ、握力の結果が抽出されたが、いずれも低下傾向にあった。

 もはや子どもの体力低下に驚きはないが、中高年の体力が伸びている事実には「へえー」と思わせるところがある。確かに運動をしている中高年は多くなっているように見える。そういう私もスポーツジムに通い始めて半年になる。ジムは朝の8時から夜の12時まで開いており、たいてい夜遅くに行くことが多いのだが、常に満杯だ。ランニングのマシンには予約が必要で、走るのにも順番待ちの状態。スタジオで行うエアロビクス系の運動も12時近くまで盛況が続く。運動を終えてシャワーを浴びようと思っても、全てのシャワーが埋まっていることもある。

 近所の公園では朝夕問わずジョギングをしている人たちを見かけるし、夜中にウォーキングをしている夫婦にもよく出会う。グラウンドゴルフに興じたり、早朝のラジオ体操に集まる高齢者。そう考えると、やはり中高年のスポーツ熱は高まっているのだと実感させられる。

 ところが、周囲を見渡しても、スポーツクラブに所属している人は非常に少ない。私が通っているような民間商業施設ではなく、地元に根ざしたクラブのことだ。ママさんバレーやフットサルのチームに入っている知り合いもいるが、やはり少数派。スポーツ界はこれまで「底辺の拡大」を唱えて子どもたちばかりに目を向けてきた。それは非常に大切なのだが、スポーツを愛する層はもっと広い。健康増進だけでなく、スポーツを通じて地域コミュニティの交流が図れればなおいい。大人たちがスポーツに親しめる環境はどうあるべきか。そんなこともたまには考えてみたい。今回の調査結果を見てそんな気にさせられた。


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