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vol.274-2(2005年10月28日発行)
滝口 隆司/毎日新聞記者

アジアシリーズが意味するものは?



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アジアシリーズが意味するものは?
滝口 隆司/毎日新聞記者)

 プロ野球、日本シリーズを制した千葉ロッテが11月10日から東京ドームで始まるアジアシリーズに出場する。日本、韓国、台湾の優勝チームに中国選抜を加えた4チームでアジアの覇権を争うという新大会である。総当たりリーグ戦の後、上位2チームによる決勝戦が行われる。

 韓国は元中日の宣銅烈・新監督率いるサムスン・ライオンズが3回目の優勝を決め、台湾は誠泰COBRASと興農牛との台湾シリーズ(29日から)の勝者が来日する。ちなみに誠泰の監督は元西武の郭泰源氏。中国選抜の監督も元ロッテのジム・ラフィーバー氏が務めることになっており、いずれも日本のファンになじみのある顔だ。

 アジアの野球にどれだけの観客が集まるのか、国内リーグを創設して間もない中国がどの程度の実力か、本当の真剣勝負が見られるのか、など注目したい大会ではある。そして、大会創設の背景や将来の野球界の青写真を想像してみるのも面白い。

 大会は日本野球機構(NPB)の主催であり、読売新聞社が後援。これに韓国野球委員会、中華職業棒球連盟(台湾)、中国棒球協会が「協力」という形で関係しているのが今回の構図。つまり、読売=巨人サイドをバックにした日本主導の大会ということだ。

 数年前、プロ野球のビジネスに深くかかわる有力関係者からこんな話を聞かされたことがある。

 「日本はいずれ12球団から8球団となる。経営体力のない弱小球団は排除されていくだろう。これに韓国、台湾、中国を巻き込んでのアジアン・リーグを創設しようという動きがある。メジャーリーグと比較した場合、時差や移動距離を考えても無理な話ではない」

 その人物は排除される球団名も挙げ、この構想が野球界の新たなビジネスとなり、市場開拓につながっていくだろうと自信ありげに話した。

 昨年のプロ野球再編問題で1リーグ制移行の話が浮上した時、私はこの人物とのやりとりを真っ先に思い浮かべた。選手会のストライキを経て結果的に2リーグ制は今季も維持されたが、村上ファンドによる阪神電鉄株の大量取得や、楽天とTBSとの経営統合に向けたニュースを聞くと、1リーグ制が導入される可能性はまだ消滅していないのではないか、と思わざるを得ない。巨人の渡辺恒雄会長は「村上ファンドのバックには(1リーグ制論者である)オリックスの宮内オーナーがいる」と発言しているし、1つの会社が複数球団のオーナーになれない野球協約を承知で、楽天は横浜の親会社であるTBS株を買いあさっている。

 そして、読売新聞後援のアジアシリーズ開催である。スポーツ紙によれば、渡辺会長は「オレの生きている間は12球団2リーグで行くんだよ」と話したという。当面はもちろん2リーグ制だろう。しかし、将来的にはまたも球界再編の動きが加速していくに違いない。その背後に「アジア」という大きな市場が広がっているのだ。


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