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vol.278-2(2005年11月25日発行)
滝口 隆司/毎日新聞運動部記者

四国に続く独立リーグの波


杉山 茂/スポーツプロデューサー
  〜Lリーグクラブと高校の「合体」〜
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四国に続く独立リーグの波
滝口 隆司/毎日新聞記者)

 18日に行われたプロ野球のドラフト会議で、四国アイランドリーグの選手は指名されなかった。「選手は本当に死に物狂いで自分を変えようと努力してきたのかどうか、監督・コーチも選手を育てるために必死に努力してきたのかどうか考え直す必要がある。この現実を直視し、もっと強く意識を持ちたい」と石毛宏典代表はコメントしている。プロ養成を第一の目標に掲げて、日本初の独立リーグを立ち上げただけに、関係者の落胆は大きいに違いない。

 とはいえ、経営的にはまずまずの及第点だったといえるだろう。「平均観客数800人」という当初の目標に対し、1試合平均1,068人(総動員数約19万1,200人)という実績を残し、目標を3割強上回った。初年度は支出も多く、黒字にはならないようだが、来季に向けてはある程度メドが立つ数字だ。

 試行錯誤で終えた最初のシーズン。選手の育成や経営の問題もさることながら、野球界に与えた影響は小さくない。「四国の挑戦」に続けとばかりに、他の地域でも独立リーグが設立に向けて動き始めているからだ。

 来秋からは「Uリーグ」という独立リーグが沖縄でスタートする。そのトライアウトが、あす26日の九州地区を手始めに全国4会場で開かれる。

 「U」とは沖縄の精神文化である「結いのこころ」から取られたもので、「勇気」や「友情」にもかけられている。1チーム25選手の陣容で4チームを結成し、温暖な気候を利用して10月〜3月に80試合を行う予定だという。

 決してプロ養成のためのリーグではない。「野球に専念するプロではなく、仕事をもちながら地域に貢献しつつ野球における自らの最良のパフォーマンスを追及する」。リーグの理念にはそう謳われている。イメージしているのは「大人のボーイズリーグ」。高校では全国屈指の強豪県となった沖縄だが、高校を卒業すると硬式野球に取り組める環境はきわめて少ない。そこで地元のNPO法人が中心となってリーグ設立を進めてきた。

 現在、日本と韓国のプロのキャンプ地として県内15以上の球場が利用され、インフラは整っている。県内の移動距離も短く、リーグを開催するのには恵まれた条件だろう。冬の時期にも試合を行うことによって、キャンプに来たプロ野球関係者との交流や報道陣に注目される機会も増えるというわけだ。

 そして、3年以内にはリーグ傘下のジュニアキッズチームも作り、底辺層にも目を向けていくという。「小さな規模で立ち上げ、存続可能な範囲で運営しつつ、徐々に大きくしていく考え方。最初から大きな仕掛けは考えません」。リーグ設立の発表文はそう記している。

 沖縄とは別に、東北や首都圏をエリアにした独立リーグ構想も進んでいる。すべてが新たな取り組みであり、定着するには時間がかかる。四国アイランドリーグもまだ1年。プロからの指名がなくても焦る必要はない。まずはその土地に溶け込み、リーグを根づかせること。それが独立リーグの進むべき道のはずだ。


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