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vol.312-2(2006年 8月2日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「川淵続投の心配」

 日本サッカー協会の役員新体制が7月30日正式に発表された。川淵三郎会長は「まだ、やるべき仕事は多数ある。日本サッカー発展へ、最後の全力投球をしたい」と3期目の続投を宣言した。その意気は分かるが、問題は「聞く耳を持たない」点にある。

 かつて、会長就任とともにJリーグ立ち上げからの盟友だった森健児、木之元興三の両氏とたもとを分かち、外部から招聘した平田竹男・専務理事とも決別した。「ゼネラル・セクレタリー」の別名を作ってまで最高待遇した平田氏は問題を起こし、辞めさせざるをえなかった。

 次々に人材が失われ、身内でだれが進言できるのかが心配である。「忠言は耳に痛し」と昔から言われているが、常に自分がオールマイテイではないのは昔から様々な団体の歴史が証明している。

 今回の異変は「晩節を汚すな」とアドバイスした、長沼健・最高顧問の進言を「批判は覚悟の上で、日本の発展のためにやる」と断ったとき、その陰で野村尊敬副会長が動いたと知って直ちに理事へ降格。女子アジア杯でオーストラリアへ出張中だった大仁邦弥・常務理事を呼び戻し、副会長へ昇格させた。「もう交代したらどうだ」と肩たたきを覚悟していた、大仁氏は急変に驚きの声を隠せない。

 「サッカー協会の理事は永久職ではない。定年まで行く、のではない」と宣言。メンバーの半数を入れ替えた。常に刺激を与え活性化するのは大いに結構だが、追放、降格処分を目の前にしている理事はみな無言だった。

 今後、サッカー界を取り巻く環境は厳しくなるばかり。やがてW杯、五輪も出場できなくなるピンチも来ることを覚悟しなければならない。

 痛い発言、提言があっても耳を傾け、抜擢された人材が活躍できるように会長のリーダーシップを望みたい。

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