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vol.330-1(2006年12月 6日発行)
岡崎 満義 /ジャーナリスト
横田真一選手会長の“救済”問題

 12月4日付日刊スポーツに「横田を『推薦』で救済へ―JGTO(日本ゴルフツアー機構)が主催者枠『6大会まで』緩和検討」という大見出しの記事が載った。その記事の解説欄を見ると―

 「11月26日のカシオワールド最終日で横田は31位。今年の賞金ランクは76位に終わり、資格者の上位70人に与えられる賞金シードを逃した。他のシードを持たないため、来季の出場権を得るためにはQT(クォリファイングトーナメント)に臨むしかなかったが、島田会長から新シードでの救済を伝えられた。『JGTOに貢献した選手への功労賞的な資格』として、20日の理事会で横田への授与が全会一致で承認されていた。横田はその場では受け入れを表明したが、6時間後にQTへの出場を表明。しかし4日間の予選ラウンドで128位に終わり、上位90位タイまでに与えられるツアーメンバーの資格を失った」

 実は私は、JGTO理事会のメンバーの1人である。理事会に「新シードでの救済」案が提出されたとき、賛成した1人だ。横田真一選手は選手会長として理事会にも出席、まじめな人柄とその良識に感心していた。毎週のツアーのかたわら、選手会長の仕事を2年間もつづけるのは容易ならざることだったろうと想像した。20日の理事会に出席した選手理事は1人だったが、その選手理事からも「新シードでの救済」案は強く支持された。横田選手会長の日頃のJGTOに対する貢献ぶりは、誰しも認めるところだったから、殆どもめることなく、全会一致で「新シードでの救済」が決まった。

 しかし、この救済案は横田選手のゴルファーとしてのプライドを、いたく傷つけたようだ。スポーツは公平、公明、公正、フェアでなければならない。結果として残った数字がすべてだ。それが実力の世界、誰もが納得できる、一点の曇りもないフェアプレーの具現である。それでこそスポーツだ。それが大原則だ。

 2006年度JGTO表彰式の前に開かれたJGTO総会でも、はたせるかな、この「新シードでの救済」が問題化した。選手会からの救済嘆願書でもあればまだしも、理事会の一方的な救済措置はいかがなものか。横田選手の合意なく発表して、結果的に横田選手にこの救済を受けるか、QTを選ぶか、苦渋の選択を押しつけたのは酷なやり方だ。この救済案が認められたら、将来にわたって、何をもって貢献とするかが問われるケースが次々に出てきて、混乱のもとになるのではないか。

 選手の間から、そんな異議ありの声が出た。総会に出席していた横田選手は最後に「いろいろ気を使ってもらってありがたいと思う。しかし、ゴルフはスポーツ、スポーツのクリーンさにマイナスになるような措置はとってほしくない」とはっきり言った。ナイスガイだ、と思った。

 長期シード権をもたないで選手会長職をつとめたのは、それも2年にわたってつとめたのは、横田選手がはじめてだ。誰だって、ゴルフにプラスになるとは思えない仕事はしたくない。プレーだけに専念したいだろう。しかし、誰かがしなくてはならない。彼の人柄のよさ、誠実さに選手会はある意味で甘え、押しつけ、彼はそれをまじめに受けとめたのだ。

 反省すべき点は、新シードでの救済をするにしても、まず、横田選手の気持ちを聞き、選手会の個々の意見も十分に聞いた上で、判断すべきであったこと。

 もうひとつ。この問題がとりあげられた総会に出席した選手の、何という少なさ!200名近いメンバーの中で90%は委任状で、20人ほどしか出席していない。横田選手のことはひとごとなのか。もう少し親身になっていいのではないか。不特定多数の知事選などでも、投票率は悪くても30%はいく。特定少数の出席率が10%とは!

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