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第20回オリンピック冬季競技大会(2006トリノ・オリンピック)女子ショートプログラム イリーナ スルツカヤ(RUS)


(C)photo kishimoto

第20回オリンピック
冬季競技大会
(2006トリノ・オリンピック)
女子ショートプログラム
イリーナ スルツカヤ(RUS)

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vol.290-1(2006年 2月22日発行)
杉山 茂/スポーツプロデューサー

ベースボール界の「プロ・アマ感覚」



岡崎 満義/ジャーナリスト
  〜トリノ・オリンピック雑感〜
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ベースボール界の「プロ・アマ感覚」
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 プロ野球の現役選手がシーズンオフ(今季は昨年12月1日〜1月31日)に、出身高校で練習するのを認めた“制度”が当分、継続されることになった。

 日本高校野球連盟(高野連)のプロ・アマ健全化委員会なる会議で申し合わされた、とマスコミが伝えたものである(2月14日付各紙)。
 
 ベースボール界のプロ−アマチュア間は、まだそのあたりのレベルをうろうろしているのか、といささか驚かされる。

 プロ側の強引なスカウティングや契約交渉が、さまざまな波紋を呼んだ過去の歴史が“健全化”を遅らせていたのだが、高校関係者の「プロ」という言葉への過敏症状も異常で、それでいながら、ドラフト会議の結果を学校長以下が待ちわびる姿とのアンバランスは、理解しがたいものだった。

 母校での練習は、今季から解禁されたもので、トップスターのホーム・カミングは、シーズンオフに恰(かっ)好の話題となり、距離をおきながらも高校生たちの嬉しげな表情が、効果を示しもした。

 現役プロ選手の母校数は全国で約400、このうち143校で“合同”のトレーニングが行われたようだが、今後はさらに増え、しだいに、当ぜんの風景となって、話題性も薄らいでいくだろう。それでいい。

 ベースボールほどプロとの同居を敬遠するスポーツ界もなかった。そこへサッカー(Jリーグ)の風が吹きこみ、同じスポーツの愛好者の間には、あらゆる垣根がないことを教えた。

 テニスやゴルフは、とうの昔にオープン競技会を開いていたし、多くのスポーツ団体は、邦文、英文を問わず「アマチュア」の字句を看板から削った。フルマラソンでさえ高額な賞金と出場手当ての用意されるレースが組織化される時代だ。

 今後、気づかわれるテーマは、交流の枠組みなどにあるのではなく、母校側の先輩の名を利用した校名の振興や、プロ選手側の高校練習場を商業行為のロケーションにしてしまうような姿勢だろう。

 母校の一角を借りるより、数人のプロ選手が集って市内のグラウンド(球場)を貸し切り、そこへ高校選手を招いて一緒にトレーニングするなど、プロらしい行動も期待したい。

 余った時間は、少年たちに存分に開放すればいい。

 健全化、とはそうした感覚を指すものであって欲しい―。


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