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vol.293-2(2006年 3月17日発行)
滝口 隆司/毎日新聞運動部記者

テコンドーよ、またか


大島 裕史/ジャーナリスト
   〜韓国野球快進撃の背景〜
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テコンドーよ、またか
滝口 隆司/毎日新聞運動部記者)

 「テコンドー問題」が再燃している。昨年6月、日本オリンピック委員会(JOC)の承認団体と認められた「全日本テコンドー協会」(会長・衛藤征士郎衆院議員)が組織上機能していないとして、JOCから退会処分を下される可能性が浮上してきたのだ。そうなれば、五輪などの総合国際競技会にテコンドーの選手は出場できなくなる。一昨年のアテネ五輪時も同様の騒ぎがあっただけに、今年12月のアジア大会(カタール・ドーハ)に向けて「またか」の失望感は強い。

 ここで少し長くなるが、日本のテコンドー界の流れを振り返っておきたい。

 テコンドーの国内団体は戦後、在日韓国人による組織が発足し、その後、複数の団体が設立された。しかし、88年ソウル五輪でテコンドーが公開競技に採用されると、団体を一つにまとめる必要性が生じ、同年、日本オリンピック委員会(JOC)は「日本連盟」(81年発足)を準加盟団体として承認した。

 00年シドニー五輪で正式競技となり、日本が出場権を獲得。この当時から連盟内の主導権争いが表面化し始めた。同五輪は辛うじて組織の分裂を免れたものの、五輪の翌年には連盟の森喬伸会長(のちの日本連合会長)と円山和則理事長の確執が明らかに。内紛が収まらないため、JOCは02年9月の釜山アジア大会への選手派遣見送りを決定。さらに12月にはJOCが両者を指導し、新組織の「日本連合」を発足させた。しかし、日本連盟は解散せず、国内団体は分裂状態に陥った。

 日本連盟は衆院議員の衛藤征士郎氏を会長に据えたが、組織の一本化には別団体を作るべきとの判断で6月に「全日本協会」が発足。衛藤氏が会長となり、日本連盟は全日本協会への支援を表明して解散した。しかし、アテネ五輪に向けても国内団体は一本化されず、JOCは世論に押されて岡本依子(ルネスかなざわ)を個人資格で参加させる異例の措置をとった。

 今回の問題はその“お騒がせ物語”の続きといえるかも知れない。

 アテネの翌年、全日本協会は文部科学省から社団法人の認可を受け、JOCも正加盟の下に位置する「承認団体」と認めた。ところが、JOCによると、承認から8カ月が過ぎたのに理事会が開かれたのはわずか1回。総会は全く開かれていない。理事の構成は11人中9人がテコンドーに関係のない人たちだという。年間収入は会費や入会金による590万円だけで、全日本選手権など大会への支出もゼロだったそうだ。

 JOCでは今月までの運営改善を求めていたが、結論を6月まで先送りして様子を見るという。協会の事務局をJOCに移転させ、強い姿勢で指導に当たる考えもある。こうした手続きがうまく進まなければ、全日本協会をJOCから退会させる方針だ。

 とはいえ、JOCもそう簡単にこの組織を切り捨てることはできないだろう。なぜなら、文部科学省によって社団法人格が与えられた団体だからだ。全日本協会を退会させれば文科省の顔をつぶすことにもなる。慎重論も根強い。

 それにしても、なぜ文科省は認可したのか。法人格取得に政治力を発揮した衆院議員、衛藤氏はこの競技の普及や発展をどう考えていたのか。あくまで政治主導で進められたテコンドー界の一本化である。全くの競技者無視で進められる話の結末に、なんら期待は持てそうにない。


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