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vol.358-2(2007年6月29日発行)
滝口 隆司 /毎日新聞大阪本社運動部記者
東京に直結する2014年冬季五輪の行方

 2014年冬季五輪の開催地を決定する国際オリンピック委員会(IOC)の総会が7月4日に開かれる。立候補都市はソチ(ロシア)、ザルツブルク(オーストリア)、平昌(ピョンチャン=韓国)の3都市。16年夏の五輪に東京が名乗りを挙げているだけに、14年冬の行方は非常に気になるところだ。

 IOC評価委員会(委員長・猪谷千春副会長)の報告書は、本命とみられたザルツブルクではなく、平昌を高く評価している。ザルツブルクは宿泊施設や輸送、警備費用などに問題があると指摘された。ソチは政府が支援する財政面は評価されているが、施設整備や交通網の問題に疑問が投げ掛けられている。これに対し、平昌はこれといった欠点は指摘されず、バランスのとれた開催計画と評価されたようだ。2月から3月にかけて、これらの3都市を視察した評価委員会が16項目に渡ってリポートしているものだ。

 韓国・東亜日報の日本語版サイトにはこんな記事があった。「平昌冬季五輪、いまこそ8年間の農業の実を結ぼう」。2010年冬季五輪招致で平昌はバンクーバーに敗れた。4年前のプラハIOC総会。前評判は高くなかった平昌だが、第1回投票で平昌がトップ票を獲得し、バンクーバーが2位で、3位のザルツブルクが落選。ところが、決選投票ではバンクーバーにわずか3票差(53対56)で逆転され、あと一歩及ばなかった。8年間というのは、2度目のチャレンジという意味であり、これまで取り組んできた「招致活動=農業」に実がなる時が来た、ととらえているのだろう。今回の投票を前に、同紙は「シャンペンを開けるにはまだ早いが…」と表現しているが、勝算十分とみているのは確かだ。

 もちろん、圧倒的優位というわけではないのだから、シャンペンはもう少し冷やしておいた方がいいだろう。ただし、下馬評通り、平昌が決まった場合、日本にとっては16年に直結するのだから、しっかりと情勢を見極める必要はある。

 先日、ブラジルの野球関係者と話す機会があった。その人物は「2016年は東京は難しいだろう。14年の冬に韓国となれば、次がアジアということはなくなる。そうすると、南米初の五輪という可能性が出てくる」と言って、リオデジャネイロでの開催に意欲を見せていた。リオでは来月、総合競技大会のパンアメリカン・ゲームズが開かれることになっており、その成否が重要になってくる、ということだった。もし、16年開催になれば、野球やソフトボールの五輪競技復活にも力を入れるのだという。

 今回のIOC総会は4日(日本時間5日)、ソチ、ザルツブルク、平昌の順でプレゼンテーションが行われ、その後、投票に移る。遠いグアテマラの地から送られてくる情報をしっかりとウォッチしたいものだ。

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