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vol.386-2(2008年2月1日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「代表戦に観客が来ない」

 岡田新監督のスタート2試合、国立競技場は空席が目立ち、ボスニア戦は水曜日の寒いナイターで、わずか2万6971人。ワースト記録を更新する人気のなさだった。「親善試合で特に見に行きたい試合ではない」「勝負がかかる一番ではない」「相手国に知名度がなく、見たい選手もいない」などの理由が挙げられるが、問題点は「欧米の強国は、東アジア遠征には全く関心がなくなった」ことを重視したい。

 2002年のワールドカップは、初めての日本・韓国での開催であり、強国は慣れるために相次いで来日したが、組み合わせに恵まれたドイツが決勝へ残った以外は、苦杯をなめて帰国。このアジア・ショックは根深い。2002年W杯以降、3度来日したアルゼンチン代表も2004年8月18日が最後。ブラジルは日韓W杯が最後。ドイツも2004年12月16日が最後になった。

 ジーコ、オシム監督は「欧米の強国と対戦して、体で一流選手と渡り合う経験を積む」のを念願にしてきたが、年々、対戦相手に一流国は来なくなり、最近では、ドイツ大会のベスト・メンバーをそろえてきたガーナしかいない。(2006年10月4日)。これでは、とても経験を積むどころではない。

 今回のチリもボスニアも、未経験の若手中心で、「W杯予選へ通じる若手のテスト」と、チリはほとんど五輪代表メンバーだったし、ボスニアは「どのクラブも召集を拒否。さらに休養開けシーズンで満足に練習もしていない」と、コドロ新監督は、前日練習、当日の試合後と2日間も釈明する有様だった。マッチ・メイクは困難になるばかりである、のを証明した。

 かつては、サッカー協会同士の交渉で成立した国際試合も、今や代理人が介在し、強国を呼ぼう、とすれば巨額の資金が必要になっている。この背景を知れば、ファンは試合を選択するのも当然だろう。サッカー協会はこの2試合、国立でファン調査をしたが、「大学、高校の世代がほとんど来ない。家族連れか、学校帰りの女子高校生が目立つ」という事実が分かった。

 日本、韓国、中国の東アジア地区で、今後、長く世界規模の大会開催はない。北京五輪はあるが、欧州では、この世代の大会を重視しておらず、今や、関心は6月のユーロ08(スイス、オーストリア)に集中。さらに、南アフリカ大会の欧州予選を控え、ますます、東アジアは遠い存在になりつつある。世界の孤児、にならないためには、日本代表が欧州遠征して、お手併せを願うしかないが、それでは、スポンサーと契約している国内の試合はできない。質が落ちても、来てもいい国を探すしかない日本。目の肥えた日本のファンが戻るよになるのは、どうしたらいいのか、まだ、日本サッカー協会の真剣な動員作戦が見えてこない。

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