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vol.452-2(2009年6月12日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
世界を甘く見るな、あと1年の勝負だ

 サッカー日本代表は、最後のW杯シリーズで本舞台進出を決め、ドイツ大会に続いて南アフリカW杯へ出場する。

 岡田監督は「ベスト4進出」の大目標を掲げたが、この雄大な、かつてだれも掲げたことのない夢に異論をはさむわけではないが、本大会へ万全の準備ができていない現状では、ベスト4どころか、1次リーグ突破も危ないのは明らかだ。

 日本と引き分けた、W杯指揮経験がある名将カタールのブルーノ・メツ監督は、苦笑しながら「それは無理だ」と断言した。有利なホーム開催でも、フィジカルが強い以外に特に驚く相手ではないカタールに、プレスを掛けられれば、簡単に崩れてしまう、ひ弱な日本では「無理だ」と、言うのも当然である。

 遠征したウズベキスタンでも、押しまくられてしまい、負けないのが不思議ないくらいで、薄氷を踏むようなプレーだった。

 日本の入った予選A組はオーストラリア以外未熟な弱いチームばかりだった。
韓国、北朝鮮、サウジ、イラン、UAEとW杯出場経験国が集まった予選B組とは、大きな力の差を感じていた。

 17日のオーストラリア戦を終えれば、本大会まで“あと1年間”しかない。
この間、日本代表はどのような強化をするのかが大問題になる。一番問題なのは「日本は2006年ドイツ大会以降、強い国と、一度も真剣勝負をしていない」点だ。メンバーのほとんどは、ドイツ大会に出ていない選手ばかり。国際試合の怖さを体験しないで、本番にぶつかれば、吹き飛ばされてしまう。サッカーは強豪と競り合って、厳しさを体で覚えるスポーツである。

 本大会出場国は、メリットのない日本へは、まずやって来ない。国内の親善試合は全く期待できない以上、あとは、欧州、南アフリカへ出向き、現地で、強豪国に対戦を請う以外にない。今年度は欧州で、オランダ、ガーナ代表と9月に対戦が予定されているが、来年こそ本大会開始の6月まではJリーグの日程を犠牲にしてでも、代表を欧州、南アフリカへ送り込み、徹底して鍛える、英断をくださなければ厳しい試合を一度も体験していない日本代表の苦戦は免れまい。

 特に、気候、風土が違う南アフリカで、どういう会場なのか、芝はどうなのか、スタンドの重圧は、などをテストしておくのは大切ではあるまいか。日本の運命は、残す1年間、どういうマッチメイクができるかにかかっている。

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