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vol.480-2(2010年2月19日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「勝てないサッカー日本代表」

 南アフリカワールドカップを目指すサッカー日本代表は、東アジア大会で3位に終わり、あと3ヶ月に迫った本大会へ不安いっぱいだ。

 10日に行われた日本サッカー協会理事会で、私は「このままではファンに見放され、内容も全くない。大丈夫か」と、一番で質問したが、田嶋専務理事は「教会は危機感を持っている」と、初めて重大ピンチを認めた。

 観客動員は目標の4万人集客にはほど遠く、2万人台しか集まらず、最終日の日韓戦は4万2951人に持ち直したが、逆転負けの惨敗。

 これでは目標の「世界ベスト4入り」などは、まさに絵に描いたモチになりかねない。

 テレビ解説者、評論家は、システム、戦術を論議しているが、問題は「選手に何が何でも勝つ意欲が感じられない」のと「全く走らない」の2点にあると思う。

 国と国の名誉を掛けた代表戦は、まさに、食うか、食われるかの戦争である。
意欲がなければ大国でも勝てないのだ。今年行われた4試合(1勝1敗2分け)でその必死さが感じれられなかった。岡田監督は選手の自主性を高めるために、あえて注文は付けなかった、というが、選手の士気を鼓舞し、送り出すのが監督の使命ではないか。

 日本はブラジル、ドイツ、イタリア、イングランド、アルゼンチンのような超大国ではない。世界の一流国でもない。ランキングもはるかに下の国である。彼らを上回るには技術ではなく、精神力こそ必要ではないのだろうか。

 北京五輪監督、現在は湘南をJ1に昇格させた反町監督は、練習休みの24日、国立競技場へ観戦に行ったが、「日本選手は20メートルしか走っていない。長くても30メートル。これでは、懸命に攻守に走り回る韓国を上回れない。こんなに走らないのでは」と、日韓の差は走力なのを痛感したという。

 昨年の欧州遠征では懸命に走る日本は相手を驚かせた。それが、帰国するとまた、いつもの姿に戻ってしまう。これではPKの1点しか取れないのは当たり前ではないか。

 もう一度、原点に帰ろう。あらゆる雑音にも耐えて、必死にやろうではないか。岡田監督は、残りわずかな限られた日程の中で、選手をどう目覚めさせるか、この1点にかかる。

 それに問題点は韓国戦で挑発にカッとなり、報復行為で退場処分になったDF闘莉王の行為だ。もし、W杯1次リーグであのような行動に出たら、悲劇的な結末になるのは明らか。今や、攻守とも日本は闘莉王が柱のチームである。それが要の男が戦闘放棄では話にならない。中心選手が狙われるのは世界の常識。自分の立場をわきまえ、自覚してプレーしなければ、勝利はおぼつかない。

 こういう危険な行為をする選手はまだ日本代表にはいる。この男たちをどうコントロールするか、岡田監督の手腕が問われる。

 すべて直せない欠点ではない。安易なプレーではアジアですら勝てない、ことが良く分かった。あと3ヶ月しかないが、まだ、修正できる時間は十分ある。この東アジア大会の完敗は神のいましめ、として、再スタートをして欲しいものである。

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