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vol.498-1(2010年7月27日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「小倉体制の船出」

 日本サッカー協会は、犬飼基昭会長が突然の辞任、後任に小倉純二副会長が昇格。2010年、新体制でのスタートを発表した。会長の辞任あいさつもなく、新旧会長のバトンタッチのセレモニーもないままの異例の交代劇である。「体調を崩して」と、辞任の手紙を残して理事会も欠席したのはよほどのことに違いない。22日のFIFA開催地視察のときは出席していた犬飼氏が急激に体調を崩したとはにわかには信じられない。

 小倉会長は常識人で円滑に進めるであろうから、今度は協会も明るくなるに違いないが周囲を取り巻く環境は実に厳しい。25日の理事会で公表された21年度の収支会計は予算を15億円も下回る赤字だった。もう以前のような右肩上がりの時代ではないのがはっきりした。

 田中道博常務理事は「代表関連事業が低調で、観客動員もテレビ放映収入も下回った。2014年のブラジル大会には現在のスポンサー長期契約が切れる。このとき盛り上がらないと今後の収支はさらに苦しくなる」と、長期展望の苦しさを認めた。

 2014年には、今の代表メンバーのままではチームは確実に老化する。それを上回る若手が今の日本にいないのが重大問題だ。W杯のベスト16で、21歳以下のメンバーがいないのは日本だけだった。大学レベルにも人材が不足している。韓国はこの年代に好選手がそろっているのを見るとその差は大きい。U20アジア予選で日本は韓国にも完敗してエジプト本大会の舞台を踏めなかった。その上、南アフリカ大会の代表権を初めて逃した西アジア諸国は懸命の補強に動き、日本、韓国、北朝鮮の東アジア打倒にマトを絞っている。この背景を考えると日本は、来年から始まる、ブラジル大会アジア予選を勝ち抜くのは、至難の道ではあるまいか。

 日本は南アフリカ大会の決勝トーナメント進出に浮かれているが、今回の成功は次回の大会出場の道を約束するものではない。今後の課題を、もっと真剣に考えるべきではないだろか。

 ロンドン五輪予選への態勢も全くできていない。予選は来年にはスタートする。強化体制は8月中にもまとまるが、限られた時間をどう生かすか心配でならない。

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