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vol.531-1(2011年6月6発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「サッカー五輪代表の苦悩」

 サッカー五輪代表アジア2次予選開幕を前に日本代表は6月1日、新潟でオーストラリア五輪代表と対戦、3−1で逆転勝利した。対クェート戦(19日)を前に準備OKのように見えるが「このメンバーで果たして勝てるのか?」と、疑問が沸き上がったのも確かである。

 根本的な問題は「今の五輪世代の最強メンバーを集めているのか?」という点にあるのだ。アジア・カップにはJリーグの選手を召集できず、大学生を中心に編成。それでもチームは一丸となりタイトルを取る大活躍で実績を残した。

 しかし、今回は召集した23人(内、大学生3人)中Jリーグでフル出場(ベンチ入りも含めて)しているのは7人。全体の3分の1に過ぎない。全くベンチにも入れない選手も3人いた。これでは国際試合経験のない選手は、オーストラリアのプレーにたじろぐのも当然である。

 満足に召集できないのは今に始まったことではない。北京五輪当時も反町監督は散々苦労し、頭を下げて頼んでも「ノー」と言われたことさえあった。それでも本田圭、長友、内田、香川、森本、西川ら今のA代表の主力メンバーが集まったのを思うと今回は大変ではないか。セリエAのインテルに移籍するほど大出世した長友でさえ最初の国際試合ではがちがちになって、満足なプレーができず「オイ、目を覚ませ!大丈夫か」と、反町監督が声を掛けたほどあがっていた、という。それほど国際試合の緊張、プレッシャーはものすごいのだ。

 関塚監督はこういう環境でも耐えて不満は一切もらさない。Jリーグの中には「五輪はいいだろう」とA代表には協力しても五輪はいい、という雰囲気がある。日本を挙げて一致協力態勢にならない限り前途は開けない。

 今回の予選はこれまでと大きく異なり、まず2次予選は2カ国(ホーム&アウェー)が対戦。この勝者12か国が3グループに分かれその1位勝者、3カ国がロンドンへ出場できる厳しい形式に変わった。もし2次を勝ち抜いても、3次リーグで2位だと3チームのプレーオフ。1位になっても、アフリカとのプレーオフが待っている。

 欧州リーグでセンセーションを起こすほどの活躍で帰国した香川(ドルトムンド)、宮市(アーセナル)の2大ストライカーは「選ばれれば出たい」と希望していたが、所属クラブの待ったがかかり呼ぶこともできない。

 オーストラリア戦をいい教訓にクエート戦へ、さらにチーム一丸となれるか、関塚監督以下の武運を祈るばかりである。

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