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vol.544-1(2011年12月9発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部
「夢を持とう、好きになること」

 私の母校、神奈川県立湘南高校の創立90周年記念式典が11月1日、鎌倉芸術館で行われた。湘南高校卒業生(第28回)でノーベル化学賞を受賞した根岸英一先生の記念講演がハイライトだった。

 根岸先生は「21世紀を救い、支える科学、化学」のメイン・テーマで在校生、父兄、関係者に分かり易く学問の研究を話したあと、「まず好きになりなさい。大きな夢を持ちなさい」と話し始めた。

 「あらゆる分野で成功するには、まず、好きになるものを見付けることです。好きだったらとことんやるのです。それがあらゆる分野での第1歩です」しかし、根岸先生もアメリカの大学へ留学して順調に進んだわけではなかった。研究に行き詰まり進めなかったことがある。所属していたパーデユ大学の恩師、ブラウン博士にその悩みを相談したとき、恩師の言葉は明快だった。

 「キミ、それは自分で“挫折”と思うからいけないのだ。挫折ではない。“探索”なんだ。探索なら引き返して何故だろう、と考える。また別の探索を始めればいい」。

 「なるほど、探索(エキスプローラー)か。そうか、新たな道を発見できるかもしれない。それは手探りでしたがついに研究の成果が上がったのです。湘南高校では校長は文武両道の校訓を掲げましたが、これは学問もスポーツも同じだと思います。」

 この根岸先生の講演と同じスピーチを聞いたのは、Jリーグ表彰式の柏・ネルシーニヨ監督のあいさつだった。「昨年のこの式典で、J2で優勝した我々は会場に着いたとき、J1の優勝チーム、名古屋のバスが入ってきた。私は選手に言った。見ろ、あれがチャンピオン。来年は我々だゾ!」

 この言葉はイレブンに大きな夢を持たせ、ついに史上初の昇格チームの初優勝が実現した。ネルシーニヨが最後に言ったのは、根岸先生と全く同じだった。「夢を持って、信じて努力すれば必ずかなう」。

 柏も挫折しかけたこともあったのだが、それを乗り越えて進んだのは大きな夢を全員が信じていたからだった。

 好きになる、夢を持つ、私はいつもこの言葉をかみしめている。

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