大統領のブログ

2008年7月19日

海に遊ぶ
無人島の小さなウミンチュー(海人)
※沖縄では漁師のことをウミンチューいう
共和国「こんがりここなつ島・海洋冒険学校」
プロデューサー:上柿和生(うえがき・かずお)

 子どもたちは魚釣りが大好きだ。“釣りキチ三平”君も、“釣りバカ日誌”の浜崎伝助君も、海彦君も勢ぞろいである。しかし、共和国に来る釣りキチ君たちが、漫画の主人公たちと違うところは、まったく釣り道具や仕掛けにトンチャクしないことだ。

 岸壁から海に差し出せる、そこそこの長さがある棒や竹に釣り糸を結び、それに釣り針と適当なオモリをつけて海に投げ込めば、お魚さんは食いついてくれる。が、もちろん餌を付けなければ釣れる訳がない。餌は、キャンプサイトの食器洗い場やゴミ処理場に行けば、陸ヤドカリが何百匹もゴソガソといる。これを数匹ほど捕まえ、釣り場に持って行けばよいのだ。

 ちょっと残酷だが、からだを引っ込めたヤドカリ君に大きく息を吹きかけると、どう言う訳か頭をにゅっと出す。これをすばやく貝殻から抜き出し針にかける。後は、ポチャンと水面に掘り込み、透き通った海を見つめていれば、色鮮やかなベラやスズメダイの群れが争うように食いついてくる。そして、当たりに遅れないように釣り上げる。後はその魚の切り身を餌にして釣り続ければいいのだ。潮の流れに当たれば、ガーラ(ロウニンアジ)の子どもが面白いように釣れることもある。ここの釣りは運が一番かもしれない。

 活き餌がなくても大物は釣れる。これは15年も前の話だが、小学3年生の女の子がヤドカリを餌にするのが恐くて、針にガムの銀紙を巻いてポチャと入れたら、枯れ木の棒で作った釣り竿が曲がらずにグーンと引っ張られた。

 タイヘン!タイヘン! ナンか引っ掛かった!掛かったよー!!と、叫ぶから、一緒にウンーと引き上げた。すると、なんと、なんと、40センチもあるヤシャべラが釣れた。銀紙がルアーと同じように水中でキラキラと光り、割れ目に潜んでいたベラ君がこれに喰らいついたのだ。この時、彼女の感想は「あらあら、オサカナ釣れちゃった!」で、記念の写真を“パチリ”となりました。

 こんな嘘のような話は去年もあったのだから、釣りキチ三平や釣りバカ日誌の作家先生は耳を疑うだろう。これらはみんな昼間のお話。

 夜釣りはもっと面白い。星空を映す海面はゆらゆらと青く光り、潮が満ちてくると大物と大きな群れが岸壁に近づいてくる。残念ながら、この時ばかりは仕掛けと釣具が原始的なものは、餌をさらわれるだけで、暗がりの中、何をしているかさっぱり分らない釣りとなる。しかし、それなりの仕掛けと当たりがとれる釣り竿を用意した子は、存分に釣り師気分を味わえるのだから、その努力と甲斐はある。かくして、その悔しさを胸にした釣りキチ君たちは、翌年には自前の釣り道具持参となってやってくる。

 幼稚園から毎年のように参加している戸田匠君(名護市羽地中学2年生)は、去年中学生になった時に、将来の夢を「ウミンチューになる」と言ったそうであるから、よほどこの島の釣りは面白かったに違いない。今年も部活の合間を掻い潜ってやってくるという。

 また、“島で遊びに夢中になるほど、勉強と部活もがんばってくれればいいのに”と、お母さんの嘆き節が聞こえてきそうだ。
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