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第53回全日本剣道選手権大会 2回戦 松本誠×若生大輔
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第53回全日本剣道選手権大会
2回戦
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vol.275-2(2005年11月 4日発行)
滝口 隆司/毎日新聞記者

バスケット新時代、挑戦と模索


杉山 茂/スポーツプロデューサー
  〜どうなる「bjリーグ」の独自路線〜
佐藤 次郎/スポーツライター
  〜彼女の泳ぎを見てほしい〜
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バスケット新時代、挑戦と模索
滝口 隆司/毎日新聞記者)

 日本のバスケットボール界が新たな時代を迎える。5日には国内初のプロとなる男子のbjリーグが開幕する。一方、bjとは分裂状態となった形の日本協会は07年秋に別のプロリーグをスタートさせるため、10月中旬から参加チームを公募し始めた。

 日本協会傘下のJBL(バスケットボール日本リーグ機構)から新潟アルビレックスとさいたまブロンコス(現・埼玉ブロンコス)が脱退を表明したのは昨年の6月末だった。ともに廃部となった企業チームの流れをくむクラブチーム。しかし、実業団的運営のJBLにはチームが独自に稼げるシステムがない。このため、両チームは日本協会にプロ化を求めたが、最後まで折り合いがつかず、JBL脱退、新リーグ設立に踏み切ったのがこれまでの流れだ。

 新潟、さいたまの他に仙台、東京、大阪、大分にチームを設立する発表に当初は懐疑的な声も少なくなかった。プロといっても2チーム以外にはさほど実体がなく、実現可能かと疑問視する見方も強かったからだ。

 しかし、今年2月に行われたトライアウトには計517人もの選手が集まった。JBLというトップ層の下に、バスケットへの夢を捨て切れない若者がまだこれほどいる、という結果を示すものだった。6月のドラフト会議では選考された102人の指名対象選手のうち、26人の指名選手と既存チームのプロテクト選手5人が発表された。

 スポンサーも9社が名乗りを挙げ、企業の支援も集まり始めている。1チームの年俸総額を6000万円に制限するサラリーキャップ制が敷かれ、目標とする観客動員数はレギュラーシーズンが1試合3000人、プレーオフは5000人。年間40万人を集める皮算用だ。将来は2リーグ12チーム制に拡大することも目指している。今年は野球の四国アイランドリーグが新たな独立リーグとして注目されたが、bjは屋内競技として日本初となるプロリーグ。どれだけファンの支持を集めて運営されるのか、大いなる挑戦である。

 一方、日本協会が設立するプロリーグは、07年10月の開幕に向けて公募が始まっている。一般公募とは別にJBLの加盟チームにもプロリーグへの参加意思を聞き、全体で8〜12チーム程度にしたい意向という。来年3月には参加チームを内定させるとはいえ、日本協会の場合、プロ化を望まない企業チームをどうするのかという問題もある。

 JBLの強豪チームの監督から「ウチは会社側がプロ化を望んでいないし、選手も正社員としてバスケットに取り組みたいと考えている」という話を聞いたことがある。参加要件ではチームは地域名を必ず名乗ることになっているが、企業名を完全に外すのか、入れていいのかは示されていない。既存の企業チームはどう反応するだろうか。

 いずれにせよ、2つのプロリーグが存在する形態は不自然であり、ファンには分かりにくい。プロを目指す若手もどう進路を決めるべきか悩むだろう。それぞれが独自の発展を目指すのか、将来的に融合していくのか。プロ化に踏み出した新時代のバスケット界は、あらゆる葛藤を抱えながら模索の道を歩むことになる。


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