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vol.306-1(2006年 6月20日発行)
松原 明 /東京中日スポーツ報道部

「日本代表の問題点」

 ドイツW杯で日本代表は1次予選でつまずいた。
メンバー選考、準備不足、相手の研究不足。あらゆる要素が重なり、持てる力さえ、発揮できず、第1戦を落とした失敗は大きい。

 このコラムで「強国と一度も対戦していないマッチ・メークの不安」を書いたが、その不安は的中した。その上、メンバーの選考にも問題があった。

 大会前、千葉で会見したジェフ・オシム監督は「守備の出来るMFが福西1人。あとはアタッカー。守備に不安を抱えて勝てるか」と、会見で疑問を投げかけたのはピタリの読みだった。

 日本は故障が完治しなかった久保を外し、リハビリ中の柳沢を「私の経験から間に合う」と、ジーコ監督は同行させた。確かに間に合ったが、ドイツ戦で故障再発。オーストラリア戦はほとんど満足な練習もしないまま先発。高原もドイツ戦で故障し、同じ経過で先発した。中村も足の故障で無理しての先発。あの炎天下で、体調万全でなくて勝てるだろうか。この3人の体調が?のまま、先発させ、チャンスさえ作れず敗退。何故、完調の選手を起用しないのか、墓穴を掘る結果だった。

 これでは、選手間にも「何故使うんだ」の疑問が沸いてくるのは当然である。
オーストラリアのヒディンク監督は、日本選手を克明に調べ「中村、中田英の二人さえ封じれば勝てる」作戦を立て、中盤で仕事をさせなかった。右サイドをがら空きにして、SB駒野を自由に攻め上がらせたのは、リスクを背負う危険な作戦だったが「自由にさせても、満足なクロスは上がらない」のを見越したものだった。

 それより、2人をつぶすことに徹底した。幸運なFKからの先制でリードした日本は悪くとも引き分けにするチャンスは十分あったのに、みすみす負ける、とは近来にない失態。W杯の経験豊富なヒディンク監督と、初めてのジーコとの差は明らか。

 日本は何故か、DFが無風地帯で、常に同じメンバーを使い、競争がなかった。その上、田中、加地が故障し、あわててバカンスに行っていた茂庭を呼び寄せたが茂庭、駒野もほとんど起用されていない。国際試合の経験が乏しいメンバーで乗り切れるはずはない。最大の弱点だったDFの補強、育成がなかったのが、最後にアナを作った。

 クロアチア戦で三都主は自由にクロスを許し、ずるずる下がるばかりで、守備ができないのを暴露した。GK川口が自分が遅延行為の警告を取られても、三都主にはっぱ掛けざるを得ないほど、この左サイドはピンチの連続だった。そのような選手を使い続けることが問題ではないか。

 各国の若手選手の目覚ましい活躍は、うらやましい限り。日本には21歳以下の選手はゼロ。この断層ができた、チーム作りの欠陥は、今後に重くのしかかる。

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「FWの決定力不足」は解消できないのか
  岡崎 満義/ジャーナリスト

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