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vol.321-1(2006年10月 4日発行)
杉山 茂 /スポーツプロデューサー
本場を選んだ8人の女子ハンドボーラー

 ハンドボールはヨーロッパで人気スポーツの1つ。そのトップゾーンで今シーズン(9月開幕、来年4月まで)は、本場に憧れた日本の女子選手が8人も活躍している。

 最強リーグとされるデンマークの早船(はやふね)愛子(日本での最終所属=山梨・シャトレーゼ)はすでに3年目、1部へ初昇格したクラブから請われて移籍するほどの評価を得ているし、スペインリーグの小松真理子(石川・北國銀行)もいまやチームのリーダー格だ。

 ドイツリーグの田中麻美(北國銀行)、谷口尚代(同)、金城晶子(鹿児島・ソニーセミコンダクタ九州)、内林絵美(神奈川・かながわガビアーノ)、ノルウェーリーグの山田永子(筑波大OG)、浅井友可里(広島・広島メイプルレッズ)らも、主力になりつつある。

 異彩を放つのは内林。学生時代の遠征で味わったドイツの雰囲気に憧れ、指導者の道を求めて留学、かたわら下部リーグのクラブに加わっていたが、それが今シーズンから全国リーグ2部へ勝ち上がり“全国リーガー”へ自らも踊り上った。山田は日本オリンピック委員会(JOC)の海外研修員として派遣されていたが、かつての日本代表の腕を見込まれ、今シーズンから地元クラブの一員になった。日本でも12月のドーハ・アジア大会代表で復活するという。

 人気がある、といっても1万人を超すファンを集めることのある男子の試合とは異なり、女子の場合は2000人程度。選手の報酬も1シーズン300〜400万円と言われ、プロの華やかさには遠い。

 フランスリーグでの経験が忘れられず“舞い戻った”金城は「ヨーロッパのムードは格別・・・」と心を動かされる理由を語る。

 日本リーグ(女子)が企業チームの撤退で6チームに縮少してしまい、そのうち半数が「クラブ」という現状も、選手たちの気持ちに少なからず影響している。

 受け入れる側は、スピード豊かな日本人選手の俊敏さに期待をかけるが、日本側は184cmのポストプレーヤー・谷口の大成に注目する。中学時代から嘱望されながら、国内では素質の花が開かず、180cm台の並ぶヨーロッパでもまれ、本格的な攻撃力を身につければ、1976年のモントリオール以降、オリンピックから遠ざかっている日本女子にとっても心強い。

 選手たちの心意気と周辺の思い。うまくかみ合えば、ハンドボールというスポーツにも光がさしこみ輝きそうだ―。

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