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vol.330-1(2006年12月 6日発行)
杉山 茂 /スポーツプロデューサー
信じられるかベースボール人気の復活
   〜今年のスポーツを振り返る@〜

 久々にベースボールが、話題だけは豊富に過ごした1年だった。

 春さきのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への関心は、決して高いものではなかった。

 日本(プロ野球界)は気のり薄で、テレビ界も後ずさりしていた。

 東京での1次リーグ、アメリカの2次リーグでともに韓国に敗れ、いっそう興味が遠のく。

 何がきっかけになるか分からない。2次リーグ・日本−アメリカ戦(3月12日)で、日本の“勝ち越し点”となるタッチアップを、アメリカが「離塁が早かった」と抗議、アメリカ人審判員がそれを認め、そのあと日本は決勝点を奪われ、負けてしまう。

 ところが、タッチアップに“違反”はなく誤審が明らかになるものの後の祭り。日本のベスト4は絶望的となったが、アメリカがメキシコに食われ幸運の浮上。誤審ばなしを含めて、一気に盛り上がり、準決勝で韓国を、決勝でキューバを下すと、オリンピックなみの大騒ぎとなった。

 メディアもファンもいい気なものだ。ベースボール関係者も、手のひらを返すようにWBCの意義を唱え、この勢いをジーコ・ジャパンに、などと言い出す。

 高潮したムードを引き継いだのは、ジーコでも、原巨人でも、2年目のセ・パ交流戦でもなかった。

 端正なマスクをそっと拭う青いハンカチが“小道具”となった夏の高校野球・早稲田実業(東京)の斎藤佑樹投手だ。

 V3を狙う駒大苫小牧高(北海道)・田中将大投手と投げ合った決勝戦(8月20日)は延長15回で勝負がつかず、37年ぶりの引き分け再試合となって、人気が人気を呼ぶ。

 青いハンカチの魔力は、ジャイアンツ一辺倒の日本テレビまでも酔わせ、同局は斎藤投手ブームを見込んで、東京6大学野球の中継を来年春季リーグから行うことを決めた(12月5日)。

 そして地元ファンを熱狂させつくした日本シリーズの北海道日本ハム・ファイターズ。

 さらに、松坂大輔投手のメジャーリーグ移籍に60億円の値がついて、賑やかな1年間が終わろうとしている。

 はたして、ベースボール人気は、この連続ヒットで甦えったのか。

 問題は話題が及ぼす“質”である。

 テレビ界も、プロ野球の地上波プライムタイム定着には慎重だ。
 
 どうのこうのと言いながら、この時間帯の主役はジャイアンツのまま、なのである―。

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