「批評性」「論評性」「文化性」の視点からスポーツの核心に迫る―スポーツ・コラム

岡 邦行/ルポライター

VOL.740-1(12.28)
 原発禍!「フクシマ」ルポ-99

 「復興五輪」を標榜する2020年東京オリ・パラのキーワードの1つは〝おもてなし〟だろう。
 私の立場はフリーランスゆえに取材費や交通費類のほとんどの経費は自前。そのために飛行機利用のときは格安チケットを求め、新幹線を主としたJR線はジパング倶楽部の高齢者3割引を利用する。都内からJR福島駅までは往復1万3000円ほどで行ける。しかし、東海道新幹線の場合は規制があり、こだまとひかりには乗車できるが、のぞみとみずほに乗車する際は、特急券だけは3割引にはならないのだ。
 瑞穂の国の高齢者は望みを捨て、光のごとく逝って木霊になれ―ということか。
 思わずそう皮肉ってしまう私は「厭味な男だな」と思われてしまうかもしれない。
 ただし、こんな声もある。知人のスペイン人は嘆いていた。
 「ワタシたち外国人はジャパンレールパスを利用すれば、新幹線も安く乗れます。しかし、のぞみとみずほには乗れません。日本の〝おもてなし〟には頭が下がりますが、東京オリ・パラのときだけでもいいです。のぞみだけでも乗れるようにして欲しい・・・」
 ちなみに東京駅発の東海道新幹線ののぞみは1時間に10本ほどあるが、ひかりとこだまは合わせても4本しかないのだ。
 あえて付け加えれば、彼は一方ではこう言った。
 「治安のいい日本のおもてなしのイチバンはトイレです。どこに入ってもキレイ。便座は温かいし、ウオッシュレット付き。写真に撮ってスペインの友人に送ったら驚いていた・・・」
 そういえば、日本の企業で働く、顔見知りのベトナム人は私にこんな悩みを打ち明けたことがある。
 「日本にきたベトナム人は、たとえ自国の運転免許証を持っていても日本では運転できない。レンタカーも借りられないため、家族とドライブもできないです。どうにかなりませんか・・・」
 国際運転免許証はジュネーヴ交通条約とウィーン交通条約に締結している国が発行するというが、今のところ日本政府はジュネーヴ交通条約としか締結していない。ベトナム政府は両条約とも締結していないため、日本では運転できないという・・・。
 東京オリ・パラ開催まであと2年半。訪日外国人へのおもてなしはまだまだ考える余地がある。

 ともあれ、私はこの師走、取材のために九州や関西を回った。昼は取材し、夜はホテルでテレビを前にボケーッと過ごすが、普段ほとんどテレビを観ない私が驚いたのは深夜3時頃まで放映していることだ。それも某国営テレビ局は百名山の空撮や横浜や神戸の夜景などを延々と流していた。テレビを消して外出したら、主要都市の繁華街はまさに不夜城だ。ネオンが輝き、イルミネーションが煌々と点灯していた。
 正直、そんな光景を眺めながら私は思った。
 フクシマの人たちがこの光景を見たらどう思うのか―と。
 3・11当時、とくに首都圏の住民に政府は節電を訴え、電車内の蛍光灯の3分の1は外され、繁華街のネオンも半数は消されたはずだ。それなのに・・・。
 あれから7年。未だ福島では7万人以上の人たちが放射能を恐れ、避難生活を余儀なくされている。原発禍の街には至る所に瓦礫や汚染土が詰まった黒いフレコンバッグが山積みされている。それが現実だ。
 12月13日に広島高裁は、愛媛県の四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求める住民の仮処分申請を認め、四国電力に運転差し止めを命じた。約9万年前、130㌔ほど離れた阿蘇山は大噴火を起こしたことがあり、それを考えた場合、火砕流が敷地内に到達する可能性が充分あると判断したのだ。制御できない原発の危険性を考慮すれば、広島高裁は当然の判断を下したといってよい。
 もうすぐ3・11から7回目の新年を迎える。だが、何年経とうとヒロシマやナガサキと同じように、福島第1原発事故の教訓を忘れてはいけない!


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