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2006トリノ冬季パラリンピック競技大会 バイアスロン 視覚障害 男子 加藤弘
(C)photo kishimoto

2006トリノ冬季
パラリンピック競技大会
バイアスロン 視覚障害・男子
加藤弘

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(C)photo kishimoto
2006トリノ・パラリンピック特集B(2006年3月12日トリノ発)
角田 麻子/スポーツライター

「開催国」が、その後「強豪国」になるかどうか

            


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「開催国」が、その後「強豪国」になるかどうか
(角田 麻子/スポーツライター)

 オリンピックでも、開催が自国に決まれば、とたんに国の威信をかけて強化に乗り出し、開催時にはものすごく成績がいいのに、その後ぱったり・・・というようなことがある。これはパラリンピックでもいえることだ。

 アテネパラリンピックでは、車椅子バスケットボールに「開催国」枠で出場したギリシャの試合会場が、地元の人たちの応援でどこもの大盛り上がりだったけれども、どの対戦でも大敗する「勝ち星が読める」試合を作り出していた。

 今回はアイススレッジホッケーがそれである。イタリア代表の試合となると、会場は陽気で情熱的なイタリア人の熱心な応援で埋め尽くされ、盛り上がりを演出してくれる。が、かなり力が拮抗している各国の中にあって、イタリアだけが明らかに技術の劣るプレーを見せ、1点も取れないまま大敗を重ねているのが現実だ。

 かくいうアイススレッジホッケー・日本代表も、もとは長野パラリンピックに「開催国枠」で出場するために作られたチーム。冬季競技があまり普及されていなかった当時、車椅子バスケットボールをしていた選手がかりだされ、まったくのゼロからチームをここまでに育ててきた。

 次回の冬の開催国・カナダは冬の障害者スポーツも盛んで、すでに強豪国のひとつである。次回の夏の開催国・中国は、アテネパラリンピックに大量の選手を派遣しており、パラリンピックにも国家の威信をかけているさまがよくわかったが、冬季大会への参加者は、夏から比べると極端に少ない。しかも、韓国のように、ソウル大会の成績が一番よく、その後は選手数やメダルも減り扱いも小さくなっていくような一時の盛り上がりで終わってしまうのであれば、「開催国」として出場する意味はない。

 日本も、長野の大会では強化費用も多く人々の注目も集まったが、それ以降は強化費も少なくなり、長野の次の大会であったソルトレークではかなり苦戦を強いられた選手が多かった。その苦しさからか、選手の意識も「国」を頼るのではなく、自分たちが「強くなりたい」という思いで、それに応えた企業が個人を支援し結果に結びつけている。

 長野から8年。開催国として盛り上がった後、下火になったままでは終わらなかった日本の障害者スポーツが、本当の意味で成長するのはこれからだ。「開催国」として出場するチームが惨敗したまま終わるのではなく、次の大会で好敵手として再び姿を現してこそ、「参加することに意義がある」のかもしれない。


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