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2005NHK杯国際フィギュアスケート競技大会 女子シングル(ショートプログラム) 中野友加里(JPN)


(C)photo kishimoto


2005NHK杯国際
フィギュアスケート競技大会
女子シングル
(ショートプログラム)
中野友加里(JPN)

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vol.280-1(2005年12月07日発行)
岡 邦行/ルポライター

楽天野村監督の“参謀役”は?

杉山 茂/スポーツプロデューサー
   〜オリンピック招致にスポーツ界の力示せ〜
    −2005年を振り返る@−

岡崎 満義/ジャーナリスト
   〜「チームQ」に期待すること〜
松原 明/東京中日スポーツ報道部
   〜「ガンバの育成」〜
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楽天野村監督の“参謀役”は?
岡 邦行/ルポライター)

この9月初めから10月中旬まで私は、約1ヵ月半に亘って時間が許す限り、社会人野球のシダックスの練習場や試合会場に足を運んだ。野村克也監督の専属マネージャーを務める梅沢直充さんを主役に、マネージャーの世界を書いてみたいと考えたからだ。

ところが、取材半ばの9月下旬。思わぬことにスポーツ紙は「楽天次期監督に野村克也氏が就任!」と報じたため、正直、私は野村監督自身への取材を半ば諦めた。楽天担当記者が野村監督に密着し始めたからだ。

しかし、野村監督は私の単独取材を許す一方、インタビュー時間を惜しむことなく与えてくれた。梅沢さんについてばかりでなく、これまでの野球人生を伝えた。例のぼそぼそと独白するような口調だったが、口元に笑みをにじませた野村監督の声質には独特の優しさがあった。なんと野村監督は、私を前に延べ時間にすれば4時間以上も語ってくれたのだ。野村監督のシダックスでの最後のユニホーム姿も見ることができた。

それはともかく、先週の12月2日に、楽天は野村克也新監督就任記者会見を開いた。同時にコーチ陣も発表したのだが、1軍の打撃コーチに元ヤクルトの“ブンブン丸”の異名で人気者だった池山隆寛が就任したことを知って私は「なるほど」と思った。実は野村監督の楽天監督就任の話が出た頃から、池山こそが“ノムラ野球”を受け継いでいる選手だ、と考えていた私は、密かにコーチ就任を期待していたのだ。

7年前、98年10月の日本シリーズ。4勝2敗で横浜が西武を制し、日本一になったときだ。親しくしていただいている解説者の江本猛紀さん、エモやんが私にいってきたのを記憶している。

「岡、少しばかり驚いたよ。あのヤクルトの池山と肩を並べて日本シリーズの解説をやったんだが、池山のやつ、ぶ厚いノートを持ってきてね。ノムさんが監督だった去年のヤクルトと西武の日本シリーズ、あのときの西武のデータを全部押さえたうえで解説する。で、すべて当たっとった。俺の解説の上を行っていた。あいつは西武を丸裸にしていてね。いや、参ったわ。“ノムラ野球”の財産を受け継いどる。将来、池山はいい指導者になると思う。岡、池山に注目しておけよ・・・」

 そして、年が明けた99年の3月。ある月刊誌が企画した野村監督とエモやんの対談に私は、立ち会うことができた。当時の野村監督はヤクルトを退団し、阪神監督に就任していた。もちろん、対談の際にエモやんは、以上の池山の話を野村監督に伝えた。そのときの野村監督の顔が印象的だった。野村監督は、真顔でいった。
「エモ、ほんまか? あの池山がか? 初めて聞いたな、その話。元監督としては、少し嬉しいな。頭ん中に入れとくわ・・・」

 それから3年後。02年に池山は現役選手を引退。翌年から解説者となった池山を取材したことがある。池山は、私を前に数冊のノートとスクラップブックを広げながら取材に応じた。その姿を見て私は、あらためてエモやんの5年前の言葉を思い出した・・・。

 先週12月2日の楽天監督就任記者会見で、野村監督は「ゼロからのスタート」を強調した。球団創立1年目の38勝97敗1分けの成績を見れば、たしかにその通りだ。たとえID野球を標榜する野村監督でも、楽天を優勝争いに導くまでには3年、いや4年以上の時間が必要だろう。

そんな野村監督を池山は、どうサポートするのか。来シーズンから指導者としてスタートを切る楽天の打撃コーチ・池山隆寛に期待したい。ベンチ内で野村監督の隣に立つ池山の姿を早く見てみたいのだ。

ちなみに私は、シダックスで野村監督の専属マネージャーを3年間務めあげた梅沢さんの記事のタイトルを「ノムさんに愛された男」とした―。


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