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100号記念メッセージ

■vol.109 (2002年8月22日発行)

【杉山 茂】 放送権交渉まとまらずセリエA開幕延期
【早瀬利之】 欧州シニアツアー、日本選手3週連続優勝が問うもの
【市川一夫】 スポーツ用品売上げは8期連続減収


◇放送権交渉まとまらずセリエA開幕延期
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

テレビ放送権交渉がまとまらず、イタリア・サッカーリーグ1部(セリエA)の開幕が予定されていた8月31日から9月15日に延期されてしまった。

中村俊輔のレッジーナ入りで、日本の地上波・BS波局の放送権の落ち着き先が注目されてもいるが、7月末ごろ、ある関係者が「セリエAは、今それどころの騒ぎではないようですよ」と、この事態を話してくれていた。

それでも、まさか決着が長引き、開幕日(第1節)をずれこましてしまうことになるとは、予想できなかった。
セリエAは、90年代後半までテレビの生中継を認めていない組織だった。観客が、スタディアムに来なくなる、という理由である。

スポーツと放送(ラジオを含めて)の歴史を探ると、いつの時代、どの国、どのスポーツも"最初のころ"は、この懸念が必ずといってよいほど発生している。

そのセリエAも、巨大なマネーが流れ込む"誘惑"には勝てなかった。97-98年シーズンから、衛星波による有料契約放送での生放送を解禁したのだ。3年前、ビジネス路線をさらに進めて、衛星波の放送権料交渉を各クラブが直接テレビ局と行える、としたことが、今回の混乱の引き金だ。

これまでに伝えられた情報を整理すると、セリエA18クラブのうち、まだ8クラブの放送権契約がまとまっていない。いずれも戦力が中堅クラスのクラブだ。

ちなみに、レッジーナは、契約を複数年で交わしており、今回の騒ぎには巻き込まれずにすんでいる。

交渉の難航の最大原因は、当然のことながら、金額である。

クラブ側が、12億円弱を望んでいるのに対し、テレビ局側(「テレ・ピュー」社と「ストリーム」社)は、その半額程度と突っぱねている模様だ。

問題を複雑にしているのは、上位の人気クラブには、要望額がすんなり受け容れられていることである。

放送権収入は、いまやクラブ財政の大黒柱であり、選手への高い報酬、有力選手の獲得など、多くをそこに依存している。

約2週間の開幕先のばしによって、交渉の泥沼化といった事態は避けられそうだが、ヨーロッパ・サッカー界の「テレビマネー・バブル」の崩れは、いちだんと現実味を増した、と言えるだろう。

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◇欧州シニアツアー、日本選手3週連続優勝が問うもの
(早瀬利之/作家)

欧州シニアツアーでの日本人プロの活躍が注目されている。

全英オープン2週間後、アイルランドで行われた全英シニアオープンでは、須貝昇選手(52)がトム・ワトソンを振り切って初優勝した。全英シニアはその名の如く、シニアのメジャー戦である。ここでの優勝は来年のシード権をとったことになる。

また、8月9日から11日まで行われた欧州プロゴルフシニアのバートラガツ・オープンでは、日本の滝安史選手(51)がアイルランドのデニス・オサリバンをプレーオフで破り、これも初優勝した。

日本人選手は全英シニアの須貝昇、さらには全英のあとのシニア選手権で海老原清治、そして滝安史と3週連続優勝を飾った。

このことについて、「なぜ日本選手が?」という声がヨーロッパで聞かれるようになった。残念ながらテレビ中継されないので状況は日本に伝えられていないが、欧州シニアツアーは別冊のツアーブックが発行されるほど人気も増え、急成長株である。

ヨーロッパ出身のシニアプロには間もなくセベ・バレステロスなどが参加する予定で、現役ツアー時代に活躍したプロ達が出場することから、スポンサーも注目しはじめた。

日本もあと4、5年すると、倉本昌弘、友利勝良、中嶋常幸らがシニア入りし、スタープロが顔を出すことになる。そうなると、日本シニアツアーが、人気低迷の現役ツアー(JGTO)と肩を並べる日も近くなる。ジャンボ尾崎などが加わったら、俄然人気が出てくるに違いない。

そのジャンボ尾崎はレギュラー(現役)ツアーにこだわっているものの、賞金総額1億円のトーナメントが生まれれば、シニアツアーに出場することも考えられる。

彼はすでに4日間の試合は無理な状況にある。アマプロ戦も義務づけられているから、現役ツアーは正確には5日間競技だ。その点、シニアは3日間競技。ジャンボの優勝は充分に考えられる。欧州シニアツアーに出ても勝てる力を持っている。本人は相変わらず現役にこだわり続けているが、それは本心ではない。

例えば、プロデューサーや主催者が彼にファイトマネーを出し、シニアツアーに出場させるようにしてみればどうか。そうすれば、本人も出場する可能性が高くなり、シニアツアーの人気も出てくるはずである。

欧州シニアへ逃げられる前に、国内シニアツアーに出られるような対応が望まれる。

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◇スポーツ用品売上げは8期連続減収
(市川一夫/スポーツライター)

3月、7月、8月と決算期が異なるが、スポーツ用品各社の業績は軒並み減少し、8期連続減収を記録した。

スポーツ衣料ではトレーニングウエアの落ち込みが著しい。いわゆる低価格カジュアル衣料に完全に遅れを取り、スポーツといえばジャージスタイルと言われた面影は全く無い。

この点、外国ブランドのナイキ、アディダス等は、いち早くカジュアルテイストを取り込み、頭の先からつま先までブランドで固める若者のハートを捕らえていて、ストリートファッションでもリード役をはたしている。

これに対し、純競技指向をマーケティングの主軸においているミズノ、アシックスは苦戦を強いられている。少子化の影響もあり、純競技者は一部を除き年々減少しているからである。コアビジネスユニットであるゴルフ、スキー用品が長い不振にあえぎ、業績の足を引っ張っていることに加え、比較的堅調であったスポーツ衣料(ジャージ類)も急速に売上が落ち込んでいるのが大きい。

高度成長期から、スポーツ用品需要をリードしてきた3大アイテムは、今や逆に経営の屋台骨を揺るがすほどの凋落振りである。

国内スポーツメーカー各社は、希望退職制度の実施による人件費削減や、宣伝費削減に懸命に取り組んではいるが、売上減少に歯止めが掛からないので、苦しい状況が続く。しかし、それ以外のアクションがなかなか見えて来ない。

かつては、東京五輪や札幌五輪の開催に合わせて、業界をあげて市場創造を図り、様々なプロモーションが展開された。よく知られているものとして、東北・上信越の自治体や国鉄(当時)などとタイアップして、山映画会などのアトラクションを開催し、スキー列車、スキーバス等を増発して、お客を送り込んだ企画などがある。

時代は変わり、長野五輪、日韓共催ワールドカップのような大きなイベントが相次いで国内開催された。にも関わらず、業界全体がこうした盛り上げに加わり、スポーツ参加者を増やす活動はほとんど見受けられていない。個々の企業の優位性を求める余り、このようなビックチャンスを充分に活用する機会を逃した印象が強い。

もちろん、ライフスタイルの変化により、過去の成功体験が現在でも通用するかは判断が難しい。しかしながら、異業種や、関連産業、行政等と横断的な企画を打ち出し、前向きに努力する考え方が、もはやしぼんでしまっていることだけは確かなようである。

これではいけない。

米国ではSGMA(スポーツ用品工業協会)が各種調査の中で、スポーツ参加率という指標を重要視し、毎年、市場調査を実施し、分析、対策を打ち出している。しかし、日本での同じ組織からは、残念ながら、そのような発表・提言は一度として聞いたことが無い。

スポーツ参加率は、その国のスポーツ動向を見る上で最適な指標である。我が国でも、『スポーツ振興基本計画』の中で、政策目標として2010年までに『国民の2人に1人が週1回スポーツ活動を行うこと(参加率50%)』と数値を示している。

スポーツ関連産業が、目先の業績に右往左往するのではなく、スポーツ参加率を上げることに積極的に取り組み、それをもとに行政への提言や協力を打ち出せば、自ずと道も拓けてくるのではないだろうか。

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