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100号記念メッセージ

■vol.139 (2003年3月26日発行)

【杉山 茂】1年前のしこり消えぬフィギュアスケート界
【谷口源太郎】イラク戦争に「NO」といえないスポーツ組織
【早瀬利之】タイガー独りに支えられているアメリカツアー


◇1年前のしこり消えぬフィギュアスケート界
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

国際スケート連盟(ISU)からフィギュアスケート部門が離れ、独立した国際連盟を発足させる動きが明らかになった(3月24日)。

国際スポーツ組織の"分裂"は珍しいことで、今後の動きが注目される。

発端は、1年前のソルトレークシティ冬季オリンピックにおける"フィギュア・スキャンダル"にある。
ペアの採点をめぐって不正な取引があると、騒ぎがおき、国際オリンピック委員会(IOC)は、2位になったペアにも金メダルを与えるという混乱を重ねたあの事件だ。

ISUは、採点の公平を期すため、今シーズンから、順位決定を下すジャッジをコンピューターで無作為に抽出する方式を採用、さらに来シーズンから「順位点」を廃止、採点も減点から加点方式にすることを申し合わせていた。

ところが、このシステムにアメリカなどが激しく反対し、世界選手権(ワシントン、3月30日まで)の最中に、ISUから独立を発表するというのだから穏やかではない。

ISUには、フィギュアのほか、スピードスケート、ショートトラック部門がある(日本スケート連盟も同じ)。まったく性質の違う競技の複合体だけに、日ごろの運営は、なかなか難しいといわれる。

さらに、フィギュアスケートは、古くから、ヨーロッパ勢とアメリカ圏で、しばしば意見のすれ違いがあり、さらに採点競技の難しさも重なる。

昨年のシーズン開幕前から、アメリカを中心に抵抗がささやかれ、ソルトレークシティのしこりを感じさせた。それでも、独立を策すとは予想外で、どのくらいの国が同調するのか、"新組織"がIOCなど国際スポーツ機関に承認されるのか、など不明な部分も多い。

日本が、どのような行動をとるのかは、世界選手権後、国内での諸会議で話し合われるだろう。私の知っている範囲では新方式に首をかしげる空気が濃かっただけに、アメリカなどへの同調は充分考えられる。

順調に"新組織"が進んで、IOCなどの認知を得れば、日本の連盟活動にも影響してくる。

ソルトレークの一件でも、相当なイメージダウンを受けたフィギュアスケートだけに、総てにクリスタルな輝きを取り戻して欲しい。

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◇イラク戦争に「NO」といえないスポーツ組織
(谷口源太郎/スポーツジャーナリスト)

帝国アメリカのブッシュ政権は、国連憲章や国際法を無視し、何らの正義のないイラク戦争に突入した。そして小泉純一郎首相率いる日本政府もこの戦争に賛同した。

一方、この戦争に反対する声は世界に広がり、毎日のように世界のどこかで様々な反戦行動が繰り広げられている。日本でも、イラク戦争に反対するものが80%を超え、市民組織をはじめとして広範な分野の人たちによる反戦集会が次々と開かれている。

さて、日本のスポーツ界に目を向けてみると平和主義を理想に掲げるオリンピック運動の担い手であるはずのJOC(日本オリンピック委員会)はもとより、そこに加盟する競技団体にいたるまで、イラク戦争に対する意思表示を一切していない。

目立ったのは、多くの競技団体がテロを恐れて海外での大会への選手派遣や合宿を中止したことだ。

日本サッカー協会などはアメリカ遠征を巡って、「遠征中止」→「撤回」→「遠征中止」と決定を二転三転させた。イラク戦争をどう考えるのか、という根本問題について協会が主体的な判断力や決断力を欠いた結果といえる。結局は、「選手の安全を第一に考える」ということで遠征を中止した。選手の安全を考えるのは当然のことだ。

しかし、自分たちだけ安全であればいい、という考え方では、海外の選手たちとの相互理解や連帯はできない。オリンピック憲章やユネスコ体育・スポーツ国際憲章に唱われているようにスポーツは、国家、人種、宗教を超えて相互理解や連帯を生みだし、人間の尊厳を大切にする平和な社会を創ることを理想としており、その理想を突き崩すいかなる暴力も戦争も拒否しなければならない。

海外ではイラク戦争に反対する声がスポーツ選手のなかからも上がっている。ドイツのオリンピックメダリストら500人以上が「イラク戦争反対」のアピールを国連に出したのをはじめイギリスやスペインでもプロサッカー選手が「反戦」「平和」の意思表示をしている。

日本でも、選手たちからイラク戦争に対する疑問や困惑、そして批判などさまざまな声が出ている。卓球の福原愛選手(14歳)は、こう発言する。
「戦争は意味ないと思います。早く終わってほしい。戦争の被害にあって、そのために参加(世界選手権)できないような選手がでたら、悲しいことです」(3月24日付け朝日新聞夕刊)

スポーツデザイン研究所の上柿和生さんや私なども呼びかけ人に加わり、スポーツに関わりのある人からスポーツを愛好する人にまで幅広く呼びかけて、4月2日 に「イラクに戦争に反対するスポーツマン(ウーマン)のつどい」(東京都体育館研修室)を開く。一人でも多くの人が参加して意思表示をしてもらいたいと思う。 

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◇タイガー独りに支えられているアメリカツアー
(早瀬利之/作家)

アメリカ男子ツアーのベイヒル招待試合で、またまたタイガー・ウッズが優勝した。

70・65・66・68で、トータルスコアを−19として、2位のファクソンに11打差をつけての、今年3勝目である。出る試合はことごとく優勝した。

賞金総額は、どの試合も日本の5倍の5億円以上である。観客を呼ぶ試合だけに、軒並み賞金が増加され、今ではプロ野球選手と張り合うほどになった。

スポーツ界のエージェントたちの合言葉は「プロ野球に負けるな」である。大リーガー相手に、高額賞金を集め、相当なビジネスにしている。それもこれもタイガー・ウッズのおかげである。

1本の針があるとすれば、頂点にタイガー・ウッズがいて、裾野にはドングリの背比べ同様のプロたちがぶら下がっている状態である。日本もアメリカも「ゴルフ雑誌の表紙がつくれない」と嘆くほど、他の選手は表紙を飾れないのが実状である。

20年程前というか、10年前までは、アーノルド・パーマーやゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニコラス、チチ・ロドリゲス、ランガー、セベ・バレステロスなど、数多くのスタープロがいて、表紙にこと欠かなかった。

ところが最近のプロたちは、どこから見ても同じスタイル。顔の表情は感情がなく、似たような顔ばかりである。とてもカレンダーや雑誌の表紙にならない。もっと派手なアクションがあってしかるべきだが、それもない。

原因は大学のゴルフ部にある。マナー重視が無表情な青年をつくり上げた。タイガーがこけたら終わりのゴルフ界ではいけない。

感情ムキ出しの試合を見せてほしい。

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