Home
オリジナルコラムを中心とした当サイトの更新情報、スポーツ関連講座やシンポジウム開催情報などを無料配信しております。今すぐご登録を!
メール配信先の変更
ご意見・ご要望


■Back Number■

Vol.148( 5/28)
Vol.147( 5/21)
Vol.146( 5/14)
Vol.145( 5/ 7)
Vol.144( 4/30)
Vol.143( 4/23)
Vol.142( 4/16)
Vol.141( 4/ 9)
Vol.140( 4/ 2)
Vol.139( 3/26)
Vol.138( 3/19)
Vol.137( 3/12)
Vol.136( 3/ 5)
Vol.135( 2/26)
Vol.134( 2/19)
Vol.133( 2/12)
Vol.132( 2/ 5)
Vol.131( 1/29)
Vol.130( 1/22)
Vol.129( 1/15)
Vol.128( 1/ 8)
Vol.127(12/25)
Vol.126(12/18)
Vol.125(12/11)
Vol.124(12/ 4)
Vol.123(11/27)
Vol.122(11/20)
Vol.121(11/13)
Vol.120(11/ 6)
Vol.119(10/30)
Vol.118(10/23)
Vol.117(10/16)
Vol.116(10/ 9)
Vol.115(10/ 2)
Vol.114( 9/25)
Vol.113( 9/18)
Vol.112( 9/11)
Vol.111( 9/ 5)
Vol.110( 8/28)
Vol.109( 8/22)
Vol.108( 8/14)
Vol.107( 8/ 7)
Vol.106( 7/31)
Vol.105( 7/24)
Vol.104( 7/17)
Vol.103( 7/10)
Vol.102( 7/ 3)
Vol.101( 6/26)
Vol.100( 6/19)

100号記念メッセージ

■vol.149(2003年6月4日発行)

【杉山 茂】 巨額の放送権料、誰が負担?
【松原 明】 短命サミア監督の悲劇
【佐藤次郎】 選手と記者の幸せな関係
【師岡文男】 新総合国際スポーツ会議「スポーツアコード」


巨額の放送権料、誰が負担?
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

ワ−ルドカップ開催1周年を記念したシンポジュウム(6月2日、東京)で、ドイツのフリージャーナリスト、マーティン・へーゲレ氏(51歳)は、「ペイ・テレビ(有料契約放送)におけるサッカー中継の展望は、明るくない」と語った。

ヨーロッパでは契約した巨額のテレビ放送権料支払いに行き詰まり破たんするエージェントなどが少なくないといわれる。

2002、06年両大会で世界の放送権料を28億スイスフラン(約2436億円)で国際サッカー連盟(FIFA)と契約したISL(スイス)、キルヒ(ドイツ)の有力エージェントが相次いで経営破たんした姿を間近にしているヘーゲレ氏が、このバブルがはじけないわけはない、と見るのも当然だろう。

両エージェントとも、失敗の原因は、ワールドカップにあったわけではないが、ヨーロッパ・サッカー界、テレビ界に影響を与えたのも確かだ。

受信料や広告収入(番組スポンサー料)に頼らず、コンテンツ次第では契約者のあふれる「ペイ・テレビ」は、スポーツ界にも、エージェントにも、得難いメディアである。

へーゲレ氏は、放送料の高騰は、マネーを払わなければ、テレビでスポーツを見ることができなくなる、それは間違っているというニュアンスも、その発言に込めていた。

マネーがなければ、というのは、実はテレビ界側も同じ、だ。

1周年ということで、国内各局が競って「あの時」を懐かしがる番組を並べてもよさそうだが、静かだ。

理由の1つは、エージェントが定めた映像の再使用料(再放送料)が、60秒48万円もかかるからである。

90分ノーカット、ともなれば、単純計算で4320万円。これではベッカムも、ロナウドも、カーンも、稲本も簡単にはリピートできない。

一方、莫大な放送権料を広告収入にはね返してきたアメリカ放送界も、オリンピック放送権をめぐって、これまでとは異なる様相を感じさせる。

国際オリンピック委員会(IOC)とアメリカ放送界による「2010年冬季と12年夏季オリンピック」の放送権交渉は6月5、6日ローザンヌ(スイス)で行われる予定だが、すでにAOLタイムワーナーとCBSが、競札から降りる意向を示している。

AOLはインターネット最大手でもあり、その部分の交渉がはかどらなかったと想われ、CBSは7〜9年さきで開催地も未定のイベントには不安な要素が多すぎる、としたようだ。

これで、交渉に参加するのは、すでにアテネ―トリノ冬季―北京と3大会を握るNBC、巻き返しに出たいABC―ESPN、宿願をかけるFOXの3者とみられ、2大会で20億ドルラインを超えるのは確実とみられる。

スポンサーを見込めるのだろうか。

この余波は、夏以降ヨーロッパ、日本(NHKと民放合同)を襲うことは明らかだ。

放送権料の“最終負担者”を誰に求めるか。

国と地域のスポーツ観によって異なる時代、と言えそうである―。

■関連記事バックナンバー  144号(2003年4月23日号)

杉山茂『アメリカ、早くも7年さきのオリンピック放送権交渉へ』
http://www.sportsnetwork.co.jp/adv/bn/vol144.html#01

PageTop


短命サミア監督の悲劇
(松原 明/東京中日スポーツ報道部)

サッカーJ2リーグ、湘南ベルマーレ監督に招かれた、前日本代表コーチ、サミアは、わずか1ヶ月10日の短命で自ら辞任、母国モロッコへ帰った。

昨年のW杯期間中から「外国人監督を招きたい」と運動していた湘南は、サミア に注目し、交渉した結果「日本で一度現場の指揮を採りたい」本人の希望で、すぐにOK。10月に再来日し、現場を視察、湘南のビデオを全部持ち帰り、「やりたい」と、スタートした。

J2リーグは「日本人監督を育てる場にしたい」リーグ内規があるが、鈴木チェアマンは「監督はチームに運命を左右する大事なポスト。クラブからアピールされれば」と、許可した。

だが、外国人監督を初めて迎えるクラブも準備が足りず、サミア本人も2部リーグの本質を理解していなかった。

これまで、Jリーグに多くの外国人監督を迎えているが、成功より、失敗が多いのはこの両者の呼吸が合わないことが一因になっている。

彼は「英語よりフランス語でやりたい。私の意志をストレートに伝えて欲しい」と、希望。湘南はフランス語通訳を捜したが、適任者がおらず、フランスのスキー界で仕事をした経験のある青年に任せた。

ストレートで、とサミアが注文したのは、日本代表トルシエ監督に付いたダバデイ通訳は意訳が多く、正確に選手に伝わらなかったのではないか、と批判していたからだった。

だが、ストレートに言えば、日本語では角が立つこともしばしば。選手は次第に恐怖心を抱き、言えば言うほど、監督と壁が出来てしまった。

途中から、サミアは気づき、変えていったが、遅かった。

今、外国人監督に付く通訳は、ジーコ監督付きの鈴木氏を始め、意訳型が多い。適度にぼかしながら、硬軟自在に使い分ける人が少なくない。

サミアは、モロッコの大学で教鞭を取っていたときのように、毎日のミーテイングでも、草稿を下書きしてくるほどの勉強家だったが、熱意が反映しなかったのは悲劇だ。

PageTop


選手と記者の幸せな関係
(佐藤次郎/スポーツライター)

東京・渋谷にある運動記者クラブを越和宏が訪れたのは5月半ばのことである。

ここはスポーツ記者たちの取材の拠点で、発表や記者会見の場所としても使われる。越も会見を開くために長野の自宅からやって来た。
 
板のようなソリで氷のコースを高速滑走する競技「スケルトン」の日本初の選手として未踏の道を切り開き、ソルトレークシティー五輪では8位入賞を果たした38歳の大ベテラン。

越の記者クラブ来訪は3月末に続くものだった。個人で記者会見を開くのは珍しいことだ。

ただ、会見とはいっても、堅苦しい雰囲気はまるでなかった。越も旧知の記者たちも親しげな笑顔で、部屋にはなごやかな空気が流れていた。
 
「まず最初に、みなさんに御礼申し上げます」というのが会見の最初の言葉だった。

3月、それまで所属していたスポンサー企業との契約更新がかなわなかった越は、考えた末に記者クラブで会見を開くことを思いついた。

草分けの第一人者である越だが、長い競技歴の中で恵まれた環境にいたことはない。スポンサー企業がなくなれば、それはそのまま競技断念にもつながりかねない。そこで、メディアを通じて窮状を訴え、新たなスポンサー探しをしようと思ったのである。
 
3月の会見の効果はすぐに表れた。各メディアの報道に接した長野などの4社が申し出て、新たなスポンサーとしての契約を結んでくれた。そこで、越はお礼と報告を兼ねて、再び記者クラブにやってきたのである。
 
個人での記者会見も、メディアを通じてスポンサー探しをするというのも、かなり異例のことといえる。それが実際に行われて、しかも大きな成果がもたらされたのは、その土台に越和宏と記者たちとの深い信頼関係があったからだろう。
 
たった一人で日本のスケルトンの道を開拓してきた越には、メディアも競技の仲間だという思いがあり、取材にはどんな時でも丁寧に応じて自らの考えを包み隠さず語る。

一方、記者たちも取材を通じて、越のこれまでの苦闘と誠実な人柄、競技への情熱をよく知るようになっていた。

そんな関係の中でスポーツの仲間としての理解と信頼が深まっていたからこそ、越は率直にメディアに協力を求め、メディア側もそれにこたえようとしたのである。
 
メディアと選手の関係が大きく変わりつつある時代だ。

両者が何かにつけて対立する局面は多い。取材する側、される側の立場の違いを考えれば、それは致し方ないことでもある。

だが、日ごろからお互いに誠実なつき合いを積み重ねていれば、こんな関係もつくっていけるというわけだ。
 
今回は、選手と記者とのそうしたつながりをスポーツ界のために役立たせることができた。

時には対立や相互批判があっても、できるだけ理解し合うように努め、機会があればスポーツ全体のために力を合わせる。

選手と記者との関係はそうありたい。

それこそがスポーツマンシップというものではないか。

PageTop


新総合国際スポーツ会議「スポーツアコード」
(師岡文男/上智大学教授)

5月12日から17日まで、マドリード(スペイン)の国際会議場で開かれた新しい総合国際スポーツ会議「スポーツアコード(sportaccord)」に参加した。

この会議は、国際オリンピック委員会(IOC)理事会と国際スポーツ団体総連合(GAISF)・国際ワールドゲームズ協会(IWGA)・国際マスターズゲームズ協会(IMGA)・IOC公認スポーツ団体協会(ARISF)・夏季オリンピック競技団体協会(ASOIF)・冬季オリンピク競技団体協会(AIOWF)の理事会・総会を同じ会場で行ない国際スポーツ界の連携を促すもので98団体1000人を越す参加者があり盛況であった。

初の試みだったが、国際スポーツ関係諸団体の会議を集めることで国際スポーツ連盟(IF)役員の移動負担の軽減と時間の節約ができたこと、国際スポーツ関係者が同じ会場に集うことで相互交流が深まり、同時並行で毎日開催されたセミナーの講演者の質・内容を高めることが可能になったこと、世界アンチドーピング機関(WADA)説明会のような全IF共通の問題を話し合う機会がつくれたことなど数々の利点が評価された。

5月15日には、2004年アテネ五輪に向けて南北統一チームを結成することが韓国と北朝鮮の間で合意され、IOCロゲ会長も歓迎の意を示し、世界に向けての発信となった。

「スポーツアコード」はビジネスコンベンションではないものの、展示会場も設けられ、競技団体・イベント開催都市・メディア・各種企業など多彩なブースがオープンして異業種間交流も盛んに行われた。次回はすべてのIFに無料でブースが提供されるとのことである。

セミナーのテーマは日替わりで「社会におけるスポーツ」「スポーツイベントの開催と運営」「スポーツビジネス」「スポーツ放送とスポンサー」「スポーツと法律」「スポーツとテクノロジー」についてロゲIOC会長やフェリIOCオリンピック統括部長をはじめ多彩なスピーカーが内容の濃い発表を展開した。

ただ、一般入場者の参加料が1日700ユーロ(約10万円)と驚くほど高額で、せっかくの会議にもかかわらず無料で参加できるIFや各機関代表者以外の参加者は少なかった。

来年はオリンピックイヤーでもあり、スイスのローザンヌ市で5月に開催されることが決定している。

2005年以降の開催にはこの催しを招致するため既に5都市が立候補しているとのことだが、日本のスポーツ界の国際化を推進するために、近い将来この会議が日本で開催されることが期待される。

また、縦割りの弊害を改善するために、日本のスポーツ関係団体全てを集める日本版スポーツアコードの必要性を強く感じた。


■関連記事バックナンバー  148号(2003年5月28日号)

杉山茂『「日本版スポーツアコード」の実現を』
http://www.sportsnetwork.co.jp/adv/bn/vol148.html#01

PageTop


本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。 →ご利用条件