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■vol.162(2003年9月3日発行)

【杉山 茂】 快挙つつ゛く個人系競技を支えるもの
【佐藤次郎】 フライングも競技のうちだ
【早瀬利之】 PGAとJGTOが仲直り?
【大島裕史】 大邱ユニバーシアードの北朝鮮選手


快挙つづく個人系競技を支えるもの
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 競泳、体操、陸上競技と個人系スポーツで快挙がつづく。来週から大阪を舞台とする柔道(世界選手権)も勢いを示すに違いない。

 陸上競技の末續慎吾選手は、インタビューのたびに「支えてくれる多くの人たちのためにもよかった…」と答えているが、家族や恩師といった従来型と趣の異なる点がある。

 勝つため、勝たせるための本格的なユニットが、日本でもようやく育ってきているのだ。

 旧ソ連、旧東ドイツなどは、有力選手に徹底したサポートの体制を組み、技術面、戦略面、体力面、心理面、情報面とあらゆる分野で、頼りがいのある人たちが取り囲んだ。ライバルの人間性まで分析された資料が整備されたと云われる。

 プロ・スポーツでは、スタッフの数がホテルのワンフロアを貸し切るほどだの、日曜日の試合のため神父が同行しただの、外国勢はこの手の話題にコト欠かない。いまや、超一流競技者が、世界選手権やオリンピックで声価をあげられるかどうかは、この部分の充実にかかっていさえする。
個人系スポーツとはいえ“チーム”スポーツなのである。日本でもそうした時代が来たのだ。
古い時代を知る指導者は、現代は朝の散歩ですら「理論がある」と苦笑する。

 なぜ敗れたか、なぜ記録が伸びないのか、データを仲介にした対話のもとで、はじめて、次ぎのステップへと進める。

 頂点を極めるための精密さが、単数の師弟関係から、情熱的なユニットへと変化させる。
ユニットを動かすためには、資金面も重要な"戦力"である。そうした人材、あるいは条件も「世界」を狙うためには欠かせない。

 個人系に比べて、団体系(チームスポーツ)は、歩みが遅れてはいないか。
球技の国際的な苦戦は、このあたりにも原因がひそむ。

 選手だけでも大世帯、そこへ充実したスタッフを加えるなど、といわれるが、それではいつまでも、勝・敗因を精神力に押しつけてすますことになる。国内レベルから組織的強化の意識を高めなければ、個人系スポーツに話題をさらわれるばかりだろう。

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フライングも競技のうちだ
(佐藤 次郎/スポーツライター)

 世界陸上のフライング騒動は実に愚かしいものだった。少しでも考えてみれば、誰でもわかるはずだ。あのルール改正は、スポーツとしてまったくおかしなものだった、と。
 
 ポイントはひとつしかない。フライングもまた競技のうちなのである。
 
 誰であれ2度目にフライングをした者は、最初のフライングの責任まで背負って失格となる。このルールの趣旨は、フライングは何がなんでもなくさねばならぬということだろう。ことに、競技運営の促進のためには、少々の不合理などには目をつぶらなければならないというわけだ。
 
 しかし、そうだろうか。スプリンターたちは当然のことながらスタートに全神経をそそぐ。そのために練習を重ね、経験を積み、反応時間を少しでも速くするためにあらゆる工夫をする。そればかりでなく、ヤマをかけてジャストのタイミングで飛び出そうともする。
 
 そこで、スプリント競走にはフライングが絶えないというわけだ。もちろんそれはよくないことだが、スプリンターの「より速く」の衝動が、時としていささか道を踏み外すのは避けられないことだろう。高いレベルで100分の1秒を争う中では、フライングもまた、より速く走るための極限の努力の延長線上にあると言ってもいいのではないか。
 
 とはいえ、フライングばかりを繰り返していては競技にならない。そこで、1人で2回のフライングをおかせば失格となるルールが長いこと設けられてきた。これは競技者側にとっても、運営の側からみても、まずは妥当なものだった。
 
 なのに、まるで絶対悪のような形でフライングを罰しようとすれば、さまざまなトラブルが出てくるのは当たり前だ。フライングがないにこしたことはないが、最初に述べたように、それもまた100メートル競技の要素のひとつなのである。
 
 今回の世界陸上を見ていると、フライング騒動後のレースのスタートはいかにも不自然だった。フライングをおそれてスタートがひどく遅いのである。これでは、100メートルのスリリングな魅力までもが消えてしまいかねない。
 
 このおかしなルールを生んだ競技促進の方針は、例によってテレビの中継を考えたものに違いない。またしてもテレビである。テレビなしではスポーツの隆盛もないのはもちろんだが、スポーツそのものの魅力が薄れれば、テレビ中継の魅力もまた薄れるのである。スポーツにかかわるすべての者は、いますぐそのことを真剣に考え始めねばならない。

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PGAとJGTOが仲直り?
(早瀬 利之/作家)

 ケンカ別れ状態の日本プロゴルフ協会(PGA)と日本ゴルフツアー機構(JGTO)だが、PGAは、JGTOの会員で、シード権をとった者に、PGAの会員になれる、との案内を出した。

 PGA資格のない、プロテストを受けずにプロ宣言してツアーに入った者で、シード権をとった者でPGA入会希望者はプロテストを免除して入会できるというものである。

 入会金は1人40万円と安いが、毎年5万円の年会費を払うことになるため、JGTOとPGAの両方に、会費を支払うことになる。

 JGTOの新人プロの中には今年シード権がとれそうな選手がいて、その人たちにプロテスト免除で入会できると誘いをかけたもので、対象者には、宮里優作、国吉博一、近藤智弘、今井克宗、矢野プロなどがいる。

 この5人のプロが2003年暮れにシード権が確定すれば、PGAの会員になれるわけだが、はたしてメリットがあるものかどうか。

 関係者によると「今さらPGAなんて。JGTOの会員としてトーナメントで戦いたいわけだから、必要ないだろう」という意見もあった。

 また、PGAがテスト免除で入会できると誘ったことにつき「20億円近い金持ち団体が、なぜ40万円の入会金を欲しがるのか分からない。もしや年会費が狙いかな」。 それとも兄弟ケンカの仲直りの兆しかもという声も聞こえてきた。

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大邱ユニバーシアードの北朝鮮選手
(大島 裕史/スポーツライター)

 8月21日から31日まで大邱で開催されたユニバーシアードは、大会開幕前から北朝鮮に振り回され、ともかく異様な大会であった。特に、いわゆる「美女軍団」の出現した試合会場では、取材陣が試合そっちのけで「美女軍団」の方に集まるという、珍風景が繰り広げられた。ただ、取材陣に背を向けられていた選手たちにも、今の北朝鮮の状況を物語る、いくつかの特徴があった。
 
 まず、ダントツの強さをみせたのが、女子のサッカーであった。トップクラスは女子ワールドカップに出場するため出ていなかったが、それでも、スピード、体力、技術など全ての面で他を圧倒しており、層の厚さを感じさせた。
 
 サッカーに限らず、どの種目でも、北朝鮮は女子の活躍が目立った。今大会3つの金メダルは、サッカーのほか、柔道、体操の跳馬といずれも女子が獲得した。昨年、釜山で開催されたアジア大会でも、9つの金メダルのうち、体操種目別のあん馬と、射撃の2つ以外は、女子が獲得したものだった。
 
 北朝鮮では、男子は兵隊にとられている人が多いうえ、長い食糧難の影響か、選手の体の小ささが目立っている。久しぶりに姿をみせた男子のバレーボールでは、韓国が登録12人のうち190センチ以下が3人(リベロを含む)しかいないのに、北朝鮮は190センチ以上の選手が、5人しかいない。男子バレーの選手たちは、コンビネーションと拾うバレーで好勝負を繰り広げたが、体格の差は如何ともしがたく、23チーム中21位に終った(韓国1位、日本2位)。
 
 その点女子は、鍛えればまだ可能性があるというわけだ。釜山アジア大会で優勝した女子サッカーの監督がいみじくも「ともかく鍛えて、男性のような体を作った」と言っていたが、今回優勝した女子サッカーの選手たちも、体は小さいものの、重心が低く、いかにも鍛えられている感じがした。
 
 ただ選手の態度には、かなり問題があった。女子サッカーの表彰式の後、表彰台の後ろの芝生のピッチの上で、北朝鮮の取材陣だけが撮影を行い、他のメディアは、韓国の警察によって進入を阻止された。そして、2位の日本チームが握手を求めようとしたが、無視して、応援団の方に駆け出した。

 女子ハーフマラソンは、日本の田中真知が1位で、北朝鮮の選手が2、3位を占めたが、表彰式でメダルをかけられると、北朝鮮の選手はすぐに台を降りようとした。さすがにこれは、係員に止められたが、国旗掲揚が終るとさっさと退場し、1人取り残された田中も、優勝の余韻に浸る間もなく、慌てて台を降りた。
 
 釜山アジア大会でも、北朝鮮は特別扱いされていたが、不参加や撤退を示唆した今大会では、それがさらにエスカレートした。ただ、南北合同行進も4回目とあって、段々ぎこちなさが取れてきたし、閉会式では、南北の選手が歓談する光景もみられた。とは言え、スポーツの南北交流がここまで政治に巻き込まれるようだと、海外のみならず、韓国内の視線も冷めてくるような気がする。

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