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第28回オリンピック競技大会
野球3位
日本 vs カナダ

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vol.215-2(2004年9月 2日発行)
「総括-アテネ・オリンピック」

【今城力夫】オリンピックを甘く見た日本の野球
【市川一夫】報道メディアは原点に戻れ!
【大島裕史】女子ハンドボール大健闘にみる韓国スポーツの現実

Vol215-1(2004年9月 1日)号はこちらから
Vol215-3(2004年9月 3日)号はこちらから

「総括-アテネ・オリンピック」と題しまして本日、明日、と連続掲載(215-2、215-3)します。 おたのしみに!

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vol.213 2004年8月18日号「野球界・・・」
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オリンピックを甘く見た日本の野球
今城 力夫/フォトジャーナリスト)

 16個目の金メダルはあまり気分のよいものではなかったが、1964年の東京オリンピックに並ぶ金メダル数、それに銀銅を会わせた総メダル数は我が国オリンピック史上の新記録とのことで、正に快挙であった。

 しかし大きな期待を背負って、というよりは金メダルは確実のような意気込みで出陣した野球とソフトボールは、残念な結果に終わった。ソフトボールはさておき、野球に関して言えば、プロ野球チームからトップクラスの選手を2名づつ出して貰って臨めば優勝できるという考え方は、安易だったのではなかろうか。それに引き換え日本に2勝したオーストラリアは国内にプロ野球リーグも持たないのに日本を随分研究していたように見える。また日本のプロ野球を経験した、或いは現役のウィリアムス投手の存在は日本研究に大いに役に立ったことだろう。

 日本は長嶋監督が不幸にもその任を継続出来なくなったが、後任監督も選ばず長嶋さんの神懸かりな部分にのみ頼ってしまった。中畑氏は良さそうな人だが、自分自身で思うように振る舞えなかったり、また彼には荷が重すぎたように思う。打球を腕に受けながらも続投した松坂投手しかり、皆選手は一生懸命プレイしたと思うが、何かスッキリしないものが残ったような気がする。

 試合は勝つことが第一目的ではあろうが、プロ野球リーグのシーズン中に今回のようなメダル獲得のためのチーム作りには疑問を感じる。それで金も銀も逃したのなら、今回のチーム編成は何だったのだろうか。こんなことなら基本的なオリンピック精神にもどり、アマチュア選手で構成したチームで臨んでいたらよかったと思う。それでメダルが取れなくてもよいではないか、アマチュア選手に将来に向かったよい経験が出来たのなら。

 もう一つ気になったことは報道も「長嶋ジャパン」などと冠をつけて騒いでいたが、金メダルの夢が消えた後に「長嶋監督ごめんなさい」などと大きな題字が一部スポーツ紙などで躍っていたことだ。負けたからとて謝る必要もないが、何だ国民の代表ではなくて長嶋さんのために戦っていたのかと。

 それにしてもオーストラリアは野球もソフトボールも日本を金メダルから追い落とした。この教訓を生かしたチーム編成を次のオリンピックでは考えるべきだと思う。

報道メディアは原点に戻れ!
(市川 一夫/スポーツライター)

 金メダルを連呼するアテネ五輪のテレビ中継は又してもバラエティ番組と化した感がする。
中でもNHKは現地スタジオで毎日メダルを積み上げる有様だ。
まるでメダル獲得が全てと言わんばかりの報道姿勢には憤りさえ覚える。

 五輪に参加する競技者は誰しも金メダルを目指し挑戦する強い気持ちで大会に臨んでいるけれども当然全部がメダルを獲得出来る訳ではない。

 万全の体制を組みピークに仕上げて競技に臨む選手達ではあるがそれでも思わぬ判定やアクシデント、精神的要因などで本来の実力を発揮出来ず敗退することも多く見られる。
また、実力を出し切ったがそれを上回る選手に阻まれたケースも珍しく無い。

 メダリストに対する賛辞と同時に結果として無念の敗退をした競技者にも労わりや激励の言葉が有って然るべきである。
限られた放送時間内であるから制約も多いことは承知しているがこの点については明らかに工夫が足りないと感じた。

 競技の結果は当然最優先だが、競技の特性、歴史、選手、コーチの紹介、ルールの説明、施設や用具、服装などの変遷などを適時盛り込み視聴者がよりスポーツを理解し興味を持つような構成は出来ないものであろうか?疑問を抱いた。

 五輪報道や関連番組を視聴して全体に軽い印象を感じるのは自分だけであろうか?

 今はITを駆使しIOC、組織委員会、連盟、チームなどから溢れるほど情報を受け取る余り、自らの足で、内容のある、一味も違う情報を得て放送に生かそうという姿勢が足りないのは事実でないだろうか?

 番組制作者や取材記者、アナウンサー、解説者は今一度プロ意識を高め視聴者を強く意識した見ごたえのある放送を目指して研鑽を積んで欲しい。

女子ハンドボール大健闘にみる韓国スポーツの現実
大島 裕史/ジャーナリスト)

 アテネオリンピックもすっかり閉幕モードに入っていた日曜日(8月29日)の夕方、NHK総合で放送された女子ハンドボールの決勝戦、韓国とデンマークの試合は、延長、再延長でも決着がつかず、勝負が7メートルスローまで持ち込まれる、稀にみる大熱戦であった。ただし、台風が接近する中、ニュースを飛ばすことができない事情は理解できるにしても、1分余りで終ることが分かっている再延長だけでも、最後まで放送してほしかった。
 
 それはともかく、今回韓国の女子ハンドボールが、ここまでやるとは思っていなかった。近年、戦力の低下は明らかで、オリンピックのアジア予選では、日本、中国と引き分け2位に終わり、世界選手権で、やっとのことで獲得した出場権であった。
 
 ソウル、バルセロナとオリンピック2連覇を果たすなど、世界に冠たる韓国の女子ハンドボールであるが、その現実は、信じられないほど厳しい。実業団チームの解散が相次ぎ、現在わずかに4つ。そのほとんどが地方自治体や公共団体のチームである。3年前の全国大会では、会場を借りることもままならず、ソウル北部にある人里離れたナショナルトレーニングセンターで試合をしているあり様だ。
 
 決勝戦の後、「今日、我々が負けたのは、技術や体力ではない。デンマーク国民の熱烈な応援のためだ。オリンピックが終れば、すぐに忘れられる無関心が、繰り返されないことを願う」と訴える林英賦ト督の言葉には、痛々しさすら感じる。この発言は、日本のスポーツマスコミにとっても、耳の痛い言葉であるが、ハンドボールの置かれている状況は、韓国スポーツの縮図でもある。
 
 今回韓国がここまで善戦できたのは、日本でプレーしている林五卿ら、一度代表を退いたベテランを呼び戻した成果であった。15人のメンバーのうち、30代が4人。75年生まれも3人おり、韓国では「アジュンマ(おばさん)部隊」と呼ばれている。ベテラン選手たちのプレーは、死力を尽くすとはどういうものか、自らの体で、若手選手たちに訴えているようでもあった。
 
 韓国では、30歳前後のベテランと、20歳前後の若手では、意識に大きな開きがある。韓国がまだ貧しかった時期に生まれ、88年のソウルオリンピックに向け、国を挙げてスポーツに取り組んでいた時代に育ったベテランは、スポーツをすることで、国威を高め、自分も豊かになると信じて、練習に打ち込んだ。その一方で若手の選手は、ソウルオリンピックの記憶がほとんどなく、豊かな時代に生まれ育ちながらも、中学や高校の時に金融経済危機に直面し、自分たちの就職先である実業団チームが次々に解散し、スポーツが捨てられていく現実を目の当たりにしている。
 
 そのため、若手がなかなか育たない。準々決勝で負けた女子バレーのベテラン選手の一人は、韓国バレーの将来を心配しながら代表引退を表明した。女子バレーも、最終予選の時、代表選出を拒んでいたベテランを説き伏せ、やっとつかんだオリンピックの出場であった。アーチェリーなどを除き、大部分の競技が似たような状況にある。
 
 今回韓国のメダル数は、金9、銀12、銅9と、総数ではソウル大会以来の好成績であったが、全体の傾向は、東京オリンピックの後、メキシコ、ミュンヘンと好調が続いたものの、下降線をたどった日本とよく似ている。選手層が極めて狭い分、もっと深刻とも言える。4年後に向けて若手中心で挑んだ中国が、躍進とは対照的であった。

 


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